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[MOM909]筑波大MF加藤玄(2年)_内野に届いた?“進撃ポーズ”主力不在の首位チームをけん引した2試合連続ゴール

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進撃の巨人の敬礼ポーズを披露するMF加藤玄

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.7 関東大学L1部第16節 筑波大1-1東洋大 筑波大G]

 鮮やかな中央突破から左足を力強く振り抜いた。筑波大は前半30分、エリア手前でボールを持ったMF加藤玄(2年=名古屋U-18)がドリブルを開始。エリア内に入りながら、1人、2人と華麗にかわすと、左サイドからゴールネットに突き刺す“ゴラッソ”を決めた。

 前節に続く2試合連続ゴール。得点後には前節は「忘れていた」という少年漫画「進撃の巨人」(講談社)にある敬礼ポーズを真似した右手こぶしを胸の前で作るゴールパフォーマンスを披露した。

 この“進撃ポーズ”は現在アジア大会に参戦中で筑波大でチームメイトのU-22日本代表FW内野航太郎(1年=横浜FMユース)も得点後にみせているが、加藤が進撃の巨人を読んでいたところに内野が関心を持ったことがきっかけだった。

「僕が佐藤瑠星(2年=大津高)に勧められて読み始めて、内野はたまたま俺が見終わるかなというくらいで読み始めて。それでずっと進撃の話をするようになって、なんかのタイミングでやろうという話になった。発案?内野か俺で言ったら俺ですね(笑)」

 同日夜に韓国との決勝戦を控える後輩へのエールにもなったと喜ぶ“師匠”だが、チームは後半に追いつかれて、1-1で引き分け。首位はキープしたものの、2位の流通経済大との勝ち点差は1に詰め寄られた。

 筑波大はここ2節、内野のほか、MF山内翔、MF角昂志郎の主力3選手が不在。選手たちも3人の不在を十分に意識、そのうえで負けられない思いを強くして臨んでいたが、加藤はこの2試合で、特に普段ボランチでコンビを組む山内の不在を痛感することになったと振り返る。

「翔君がいると、自分の力を発揮できていないというか、翔君に頼ってしまう。それはこの2試合で痛感した部分です。あの人が発する言葉は影響力が違う。どうしても翔君の言葉を待ってしまったり、ボールを持ったタイミングで翔君を探しちゃったり。チームとしての弱みでもあると思うけど、翔君にボールが集まってしまうとか、それは自分の中でも一番大きな課題です。翔君がいる残り3か月で本当に多くを吸収したいですし、優勝とインカレに向けて成長していきたいです」

 しかし山内らが不在の2試合で、2ゴールを記録するなど、チームで中心的な役割を担ったことは自信にしたい。「自分も3人がいない中で、選手としての幅が広がった実感があるので、3人が帰ってきたときにかけ合わせて、大きなエネルギーを生み出したいと思います」。

 そしてその3人が帰ってくることになる来週末14日に行う第17節は、流経大との天王山となる。勝ち点1差で迎える大一番。6年ぶりのタイトル獲得のためには、絶対に落とすことのできない一戦になる。「3人が戻ってくるのは大きなエネルギーになる」と話した加藤は、「獲るか獲らないかの試合になると思うので、一週間いい準備をしたいなと思います」と気を引き締めた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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