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敵将として日本撃破狙うジーコ、「奇策は必要ない」

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 11日のW杯アジア最終予選で日本代表と対戦するイラク代表が10日、試合会場の埼玉スタジアムで公式練習を行った。前日練習ながら、イラクを率いるジーコ監督は異例の全公開。「現代のサッカーでは相手チームの情報はすべて共有されている。みんながみんなの情報を持っている」と、日本代表監督時代から常に練習をオープンにしてきた指揮官の哲学は変わっていなかった。

 練習前には公式会見に出席。冒頭、日本語で「みなさん、こんにちは」と笑顔で挨拶すると、「日本の力は周囲が認めるレベルのものだし、強いチームであると理解している」と警戒したうえで「日本の一番いいプレーを封じ込めて、我々も結果を求めていきたい」と番狂わせを誓った。

「サッカーは11人対11人でやるスポーツ。大きなアドバンテージはない。常に私が率いてきたチームに求めるのは、最後まであきらめずに100%の力を出し切ること。そのうえで90分の試合が終わって結果がどうなるか。奇策で臨む必要はない。試合を決定づけるのは選手が100%の力を出し切るか、いかに集中し続けるか、いかに強い意志を持つか、私が指示したことを90分守って戦えるか。そういう小さなことで結果は生まれる」

 日本代表監督時代に7勝2分と無敗を誇った埼玉スタジアムでの日本戦。すでに前売りチケットは完売し、試合当日は埼玉スタジアムに約6万人の日本サポーターが詰めかけることになる。それでも、ジーコ監督に不安はない。「このチームはいつもホームでプレーできないので、相手サポーターの影響はほとんど受けない」。3次予選も、これまでの最終予選も、イラクはホームゲームを常にカタールで戦ってきた。アウェーの環境が不利になることはない。「3次予選で中国と対戦したときも熱烈なサポーターがいたが、選手は影響されずに戦ってきた」。昨年10月11日に中国のホームで行われた3次予選もイラクは1-0で勝っている。

「日本も常に負けないわけではない。3次予選ではウズベキスタンも日本のホームで日本を破っている。常に真剣に、相手へのリスペクトを持って試合に挑み、自分たちのベストを尽くすことが大事」。W杯出場権を争う敵将として、かつて日本を率いたジーコが日本の前に立ちはだかる。

(取材・文 西山紘平)

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