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日本戦前日のジーコ監督会見要旨

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 11日のW杯アジア最終予選で日本代表と対戦するイラク代表が10日、試合会場の埼玉スタジアムで公式練習を行った。練習前にはジーコ監督とDFアハメド・イブラヒム・ハラフが公式会見に出席した。

以下、公式会見要旨

ジーコ監督
「(日本語で)みなさん、こんにちは。もう一度、日本に戻ってこれてうれしく思っています」

―日本戦への秘策はあるか?
「このチームはいつもホームでプレーできないので、相手サポーターの影響はほとんど受けない。3次予選で中国と対戦したときも熱烈なサポーターがいたが、選手は影響されずに戦ってきた。日本の力は周囲が認めるレベルのものだし、強いチームであると理解している。日本の一番いいプレーを封じ込めて、我々も結果を求めていきたい。サッカーは11人対11人でやるスポーツ。大きなアドバンテージはない。常に私が率いてきたチームに求めるのは、最後まであきらめずに100%の力を出し切ること。そのうえで90分の試合が終わって結果がどうなるか。現代のサッカーでは相手チームの情報はすべて共有されている。みんながみんなの情報を持っている。奇策で臨む必要はない。試合を決定づけるのは選手が100%の力を出し切るか、いかに集中し続けるか、いかに強い意志を持つか、私が指示したことを90分守って戦えるか。そういう小さなことで結果は生まれる。日本も常に負けないわけではない。3次予選ではウズベキスタンも日本のホームで日本を破っている。常に真剣に、相手へのリスペクトを持って試合に挑み、自分たちのベストを尽くすことが大事」

―6月の最終予選からメンバーが10人ぐらい代わっているが?
「あれから所属クラブがなくなる選手が出てきて、そういう選手は外している。日本に来る前に韓国で調整してきたが、3人がケガで帰国した。今回のメンバーのうち7人が五輪代表の選手。一昨日、4人の選手が合流し、一人は昨日合流した。一番コンディションのいい選手を選んでスタメンを決めていきたい。これは十分に理解しているリスク。十分な準備はできていない。韓国で練習試合はできたが、国際Aマッチデーで親善試合を組むことはできなかった。7月以降、チームは国際試合をしていない。8月の国際Aマッチデーも試合を組めなかった。今回の選手は初めて組むメンバー。それでも私は若い選手を信じている。若い選手がいかにチャンスをものにするか。日本と対峙する若い選手に期待している」

―昨日の練習でナシャト選手とマフムード選手のポジションを1列下げていた意図は?
「練習を見る側にはいろいろ思案し、考える権利があるが、私にも自分がどういう考えで、何を計画しているのかを言わない権利がある。それは黙秘する。結論はそれぞれで考えてほしい。スタメンは試合直前に言えばいいし、今日ももう1回練習があるので、練習を見てどういう選手を起用するか決めたい」

―日本のサポーターにメッセージは?
「日本のサポーターにメッセージがあるとすれば感謝ということ。日本にまた戻ってきて、みなさんに温かく接してもらった。写真を撮ったり、握手をしたり、抱き合ったり、そういうすべてが、日本で過ごした15年間が実りのあったものだと実感させてくれ、幸せに感じた。サッカーが世界でこれだけ盛り上がるのはサポーターがいるから。私もイラク代表の監督として、いずれイラクも自国のホームのスタジアムが5万人、6万人のサポーターが埋め尽くされ、自分の代表チームを後押しする光景を早く見たいと思っている。日本のサポーターの皆さんは今後も日本代表を応援してください。私も日本代表の歴史に貢献できたことをうれしく思っている」

●DFアハメド・イブラヒム・ハラフ
「今回日本に来ることができてうれしく思っている。明日の試合ではテクニックの高いサッカー、楽しいサッカーを見せたい」

―日本で注意する選手は? またジーコ監督はどんな監督か?
「日本の選手は世界的に技術の高い選手。何度も試合も見た。いろいろ注意しながら準備をしている。イラクを代表して来ているので、イラクなりに技術の高いサッカーを見せたい。ジーコ監督は我々の恩師。みなさんもよくご存じだと思う。明日のピッチではジーコ監督の期待どおりに良いサッカー、技術の高いサッカーを見せたい」

―イラクは07年のアジア杯で優勝したが、選手をめぐる環境面はどうか?
「07年までイラクは厳しい状況にあった。戦争状態で、宗教対立もあり、全体が衰えていた。その後、サッカーを含め前向きに発展してきている。07年以降は湾岸諸国の大会でも技術力の高さを見せてきている。イラクの国内リーグで力を見せている選手もいるし、欧州でプレーしている選手もいる。イラクの環境は前よりもよくなってきているし、こうして国際大会に出ることもできている」

―明日の試合での役割は何だと思っているか?
「11人のうちの一人だと思っているので、11人で戦っていく。ジーコ監督は信頼してくれているし、私もジーコ監督を信頼している。明日の試合では期待どおりのプレーをしたい」

―イラクはホームゲームも自国で戦えていないが?
「ほとんどイラクの中ではサッカーをしていないし、イラク以外の国でやっているので、我々は外国で試合をすることに慣れているし、外国で我々の力は出る。湾岸諸国、欧州でサッカーをすることにも慣れているし、W杯出場まで粘り強く戦っていきたい。ジーコ監督の指導の下、進めていきたい」

(取材・文 西山紘平)

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