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監督との軋轢やチーム内の対立…ミランの黄金時代を知るコスタクルタが回想

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 セリエBの瓦礫の中から復活したミランの下部組織で育った。アリゴ・サッキ時代のグランデ・ミランやファビオ・カペッロ時代の無敗優勝、アルベルト・ザッケローニ時代のスクデット、そして最後はカルロ・アンチェロッティ時代の栄光。常にバラ色のミランであったわけではない。それでもアレッサンドロ・コスタクルタが在籍した時代のミランの話題は尽きることがない。

 現在は『スカイ・スポルト』の解説者を務めるコスタクルタだが、そりが合わなかった監督もいた。2001-02シーズン前半にミランを指揮したファティ・テリムだ。コスタクルタは先日『コリエレ・デロ・スポルト』のインタビューでこう明かした。「来たときは、まるで皇帝のような態度だった。クラブの中で自分が一番偉いと本当に思っているようだった。僕らのメンタリティーを理解していなかった」

 具体的な例を挙げると、「レストランではタバコを吸っていたし、食事の際の慣例で(アドリアーノ・)ガリアーニを待つべきなのに待たない。一匹狼だったね。最初の試合で僕は召集されなかったんだけど、事前に教えてくれなくて、バスの中でスタッフから聞いた。こんな扱いを受けるのに僕らは慣れていなかった。僕らだってプロだったのだから、相応にリスペクトして欲しかった」

 つまり、テリムはコスタクルタにとってワースト1の監督だったわけだ。「間違いない」、ビリー(コスタクルタの愛称)はそう答えると、次に良かった監督を挙げた。「(オスカル・)タバレスやザッケローニは良かった。タバレスは本当に紳士だったし、カルチョを理解していた。あの年は運に恵まれなかったが、彼のクオリティの高さは間違いない。人生において、常に勝たずとも偉大であることはある」

 もちろん順風満帆の年にも、あまり感心できないエピソードは起こるもの。例えばケンカ。「僕が一番驚いたのは一緒にゴルフをするような仲だった(マウロ・)タソッティと(マルコ・)ファン・バステンのケンカだ。意見の食い違いから殴り合いになって、衝撃的だったよ。だけど、すぐに仲直りして後まで引きずることはなかった。僕がケンカをした相手は(クラレンス・)セードルフだね。それから(マルコ・)ボリエッロと(パオロ・)マルディーニのケンカも印象に残っている」

 それにカペッロとルート・フリットの対立もあった。「ファビオはコンディションの問題だと言ってルートをメンバーから外した。だけどフリットは戦術的な選択だったと言って欲しかったらしい。激しい口論になって、しばらくするとルートがカペッロの胸ぐらをつかんでそのまま持ち上げたんだ。ファビオはすごかった。微動だにせず、降ろされるまで待った。冷静な判断だったね」

 コスタクルタは記憶に残る最も危険なFWにロナウドを、最もマリーシアのあるFWにアルド・セレーナを挙げている。サッカーを通して知り合った最高の親友はというと、最近ミラン復帰が噂されたパオロ・マルディーニだ。「ここ数年の間に講習などに行かなかったのは間違いだったのでは?だから中国人もビックリしたのだろう」一方、コスタクルタ自身が役員として復帰する可能性はないと答える。「今はスカイでとても恵まれた環境にいる。ただ、MLSのチームから監督のオファーが来たら考えが変わるかもしれない」

 期待の若手DFアレッシオ・ロマニョーリについても一言。「ヨーロッパでも指折りのディフェンダーになれる可能性がある。だが最近の成長ではちょっと物足りない。もっと早く成長しないとダメだ。(ダニエレ・)ルガーニはおそらくクオリティには劣るけど意欲的だし、根性もあり、上手くなろうと貪欲だ」

文=Goalイタリア編集部

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