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スペイン大物記者、久保建英から感じる可能性「レアルがついに見つけた“本物”。失敗は許されない」

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久保建英は異質の存在?

 今夏にレアル・マドリーに加入した日本代表FW久保建英は、もはやスペインでも大きな可能性を感じさせる存在となっている。同国の大物記者サンティアゴ・セグロラ氏であれば、久保がこれ以上のない資質を持った選手と断言した。

 バスク州出身のセグロラ氏はこれまで一般紙『エル・パイス』、スポーツ紙『マルカ』などに勤務。現在はスポーツ紙『アス』でコラムを執筆するほか、テレビやラジオにも頻繁に出演する。編集長補佐でもあった『マルカ』時代には、同紙の花形記者としてレアルの試合レポートを担当し、ジャーナリズム精神に則った真っ当な批評性を伴う文章を書き続けたが、レアルのフロレンティーノ・ペレス会長はそうしたあけすけなレポートを快く思わず、『マルカ』に対してセグロラ氏を追い出すよう求めたともされる。

 そんなセグロラ氏は、スペインのラジオ局『オンダ・セロ』の番組内で久保についてコメント。今夏、レアルのトップチームがこなしているプレシーズンマッチにおいて、日本代表FWのプレーは強烈な印象を与えるものだったようだ。

「まず最初に言わなくてはならないのは、彼が極上の選手と見込めること。ただし、今だ見込めるという段階だ。彼は18歳と、まだあどけない。フィジカルが不足しており、体づくりや力強さを得るのはこれからとなる。だが、それは時間とともに手にするものであり、いずれにしろ彼はこのフットボールの世界において、めったにない資質を持っている」

「久保は見事な左足を持った選手だ。その左足は単にボールを叩く上で素晴らしいのではなく……、何よりもそのインテリジェンスが、フットボールを見る目が傑出している。彼がボールを受けることで、チーム全体のパフォーマンスが向上する様を目にすれば事足りるだろう。ダイナミズムのある選手であり、それだけでなくボールを失ったときには憤ってみせるなど、自尊心だって持ち合わせている」

「彼はストライカーの後方なら、どこからでも攻撃を仕掛けられる。信じられない選手だ。ボールを受ければ攻撃を加速させられ、じつに見事なパスを通していく。すベてを瞬時に把握することができるのが彼であり、まさに見るものを虜にする」

 久保の資質が世界トップクラスであることを認めるセグロラ氏。しかしその一方で、レアルが過去の事例から、その資質を生かせるのかどうかには疑いの目を向ける。

「さて、ここからが問題だ。マドリーは常に緊急事態にあるクラブであり、誰のことも待つ余裕はない。そして18~19歳の選手にとって最適な場所というものが分からず、彼らを無駄にする危険が常々存在する。若手にとって最適な場所がトップチームなのかBチームなのか、私には考えが及ばない」

「18歳の選手が20歳の選手と同じレベルのプレーを見せていても、適切な経験を得られなければ才能は無駄なものとなる。レアルはずっとそうしたことを繰り返してきた。久保については違うと思いたい。彼は今度こそ、本物の素晴らしい選手なのだから」

「レアルはここ数年、多くの若手選手を獲得してきたが、彼らを活用してきたかと言えば……。マジョラルが出戻っても生かすことができず、マルコス・ジョレンテが出戻っても生かすことができず、セバジョスを獲得しても生かすことができず、バジェホを獲得しても生かすことができなかった。彼らはU-21EURO優勝などを達成したが、結局マドリーでは活用されることがなかった。レアルは2014~15年あたりから今日まで若手を積極的に獲得してきたが、誰一人として生かすことができなかったんだよ。あとはビニシウスがどうなるのかを見なくてはならないが、悲劇的な昨季に希望を灯した彼は、7か月前よりも重要な存在ではなくなっている」

セグロラ氏にとって、レアルが久保の資質を生かせないことは最大級の失敗を意味するようだ。そして、だからこそ「扱いが難しい」とも論じている。

「久保が彼らのようになってしまうのは許されないことだ。ロドリゴからも良い感触を受けはするが、より期待を膨らませるのは久保にほかならない。私はビニシウスも好きだし、ロドリゴだって良い選手なのだと思う。だけど、久保は素晴らし過ぎる。彼をどう扱うのかを見ていかなくてはならないが、その扱いはとても難しいものになるだろう」

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