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ベルギーで「競技規則の適用ミス」による再試合が決定…PK時の反則で異なる再開方法を採用

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ベルギーで異例の再試合対応

 ベルギーリーグは27日、昨年12月23日に行った第19節のアンデルレヒトゲンクが競技規則の適用ミスで再試合になることを発表した。

 問題となったのは前半23分のゲンクが獲得したPK。MFブライアン・ヘイネンが蹴ったボールはGKに阻まれるも、こぼれ球をFWイラ・ソルが押し込んで先制したかと思われた。しかしイラ・ソルがキック前にペナルティーエリア内へ侵入していたことが判明し、VARからの情報を受けた主審がゴールを取り消してアンデルレヒトの間接フリーキックで再開と判定した。

 ただ、映像を見るとキック前にアンデルレヒトの選手もPA内やペナルティーアーク内に侵入していたことが判明。競技規則では攻撃側の選手のみ侵入してPKが失敗した場合は守備側の間接FK、両チームの選手が侵入していた場合はPKの結果に関係なくPKのやり直しと定められている。そのため本来はPKをやり直すべきだった。

 試合は2-1でアンデルレヒトが勝利したが、試合後にゲンクが競技規則の適用ミスだとし、ベルギーのプロサッカー評議会に再試合を求める意見書を提出。同評議会は「主審は競技規則の適用ミスをしてそれがプレーの流れに大きく影響した」と判断した上で「ミスの時間(23分)から試合終了までの間にスコアが変わる可能性がある」とし、ゲンクの主張を認めて再試合とする裁定を下した。

 競技規則では「主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終」となっており、誤審によって再試合を行うことはできない。それでも“判定ミス”による誤審ではない“競技規則の適用ミス”の場合は主審が競技規則に従っていないため、例外的に再試合の対応が行われる場合がある。

“競技規則の適用ミス”は競技規則に示された状況で規定されたものとは異なる対応を行ったときが該当する。その他の「ファウルではないと判定したが実際はファウルだったもの」など、見間違いや競技規則に則って下した判定が間違っていた場合は該当せず再試合の対象にはならない。

 過去にもPK時の反則による再開方法をめぐった競技規則の適用ミスは発生している。2005年のW杯アジアプレーオフ第1戦・ウズベキスタン対バーレーンで、PKを決めたウズベキスタンの味方選手が先にPA内に侵入したため主審はバーレーンの間接FKと判断。しかし攻撃側の選手が侵入してPKが成功した際は「PKのやり直し」と規定されており、競技規則の適用ミスだった。この試合は国際サッカー連盟(FIFA)の判断で再試合となっている。

 日本では17年の天皇杯・名古屋グランパス対奈良クラブのPK戦で、キッカーの反則によって「キックは失敗」とすべきところを「キックのやり直し」と主審が判定したことでPK戦がやり直しとなっている。このときはキッカーの反則とする判定も誤っていたが、キックをやり直した競技規則の適用ミスが再試合の理由だった。22年にはJ2のモンテディオ山形対ファジアーノ岡山で、ゴールに向かうバックパスを手で防いだGKにレッドカードが提示され、同ミスで再試合に。競技規則ではノーカードになることが規定されている。

 ベルギーメディア『SPORZA』によると、勝利していたアンデルレヒトは控訴して再試合の実施を行わないように求めたという。今回の事案ではVARが守備側選手の侵入を認識していたのかも争点となり、VARが見落としていた場合は攻撃側選手のみの侵入と考えて判定した“判断ミス”になる可能性も考えられる。昨年行われたモロッコリーグでも同じ状況で同じ誤審が発生しているが、再試合は行われていない。



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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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