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ヨルダンが史上初のアジア杯決勝へ!! “W杯躍進国”モロッコ出身指揮官が抱く野望「今後数年で日本や韓国と同様に…」

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史上初の決勝進出を果たしたヨルダン代表

[2.6 アジア杯準決勝 ヨルダン 2-0 韓国 アルラーヤン]

 2-0で試合終了の笛が吹かれると、選手たちはまるで優勝したかのようにピッチを駆け回り、歴史的躍進劇の歓喜を分かち合った。ヨルダン代表は史上初のアジアカップ決勝進出。準決勝ではホームさながらの大歓声の中、優勝候補の一角と目された韓国を見事に破り、大会の台風の目となった。

 ヨルダン代表を率いるのはモロッコ出身のフセイン・アムータ監督。1年前のワールドカップで4位入賞の大躍進を遂げた母国に続き、カタールの地で快挙を演じた。試合後、指揮官はアラブ圏の記者から「この成果はモロッコの規律のおかげでもたらされたと信じている」と祝福され、「優しい言葉、心ある感情をありがとう」と柔和な笑みを見せた。

 グループリーグのヨルダンは初戦でマレーシアに4-0の大勝を収めたが、第2戦の韓国戦では後半終了間際の同点弾で追いつかれてドロー。最終戦はバーレーンに0-1で敗れ、グループ3位での突破となった。だが、決勝トーナメントでは1回戦でイラクに3-2、準々決勝ではタジキスタンに1-0で接戦を制し、勝ち上がりながら勢いをつけてきた。

 そうして迎えた韓国戦ではFWソン・フンミン(トッテナム)、MFイ・ガンイン(パリSG)、FWファン・ヒチャン(ウォルバーハンプトン)といったUEFAチャンピオンズリーグ経験を持つアタッカー陣を完封し、ボール支配率約30%ながらカウンターから2ゴールを奪取。唯一の欧州組のMFムサ・アルタマリ(モンペリエ)が1ゴール1アシストの大活躍を見せた。

 試合後、アムータ監督は「今日の試合で違いを生んだ大きな要素は我々が相手を必要以上にリスペクトすべきではないということだ。我々は非常にタフな相手と対戦するわけだが、適切なリスペクトができればいい」と振り返り、「韓国は今大会で8失点している。彼らを相手に得点することは可能だと分かっていたので、それを活かしてプレーすることができた」と胸を張った。

 また指揮官は「いまはフランスにアルマタリがいるが、今後数年のうちに日本や韓国と同様、フランスやイングランド・プレミアリーグなどに4、5人のヨルダン人選手がいること。これが我々の目標であるべきだ」と力説。「世界最高峰のリーグでプレーする選手をいかに輩出できるかが、ヨルダンサッカー界の計画の重要な要素である」と展望を述べた。

 その野望を果たすためにも、10日の決勝戦は重要な一戦となる。アムータ監督は初のアジア制覇に向けて「準備期間は3日間しかない。皆さんもご存知の通りだが、時間はあっという間に過ぎ去っていく。ただ野心は高まっているし、適切な準備をしていきたい。非常に大事な期間になる」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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