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アジア連覇のカタール代表、スペイン人指揮官は緊急就任1か月半での快挙「美しいフットボールではなかったが…」

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カタールがアジア連覇

[2.10 アジア杯決勝 ヨルダン 1-3 カタール ルサイル]

 スクランブルでの監督就任からわずか1か月半、カタールのサッカー界をよく知るスペイン人指揮官がアジア連覇の栄光をもたらした。試合後、マルケス・ロペス監督は「おそらく美しいフットボールではなかったが……」と自嘲気味に振り返りつつも、「誰もが覚えているのは勝者だ。トロフィーを獲得できて非常に嬉しく思う」と胸を張った。

 カタール代表は開催国として史上初めて1勝もできずに大会を去った前回W杯後、19年のアジア杯制覇に導いたフェリックス・サンチェス氏に代わり、元イラン代表のカルロス・ケイロス氏を招聘。ところが昨年末、同氏が突如として監督を退任し、同国のアルワクラを長らく率いていたマルケス監督が緊急的に後任に就いた。

 正式に監督としての任務が始まったのは昨年12月24日。アジア杯開幕までは約半月と時間がなく、今大会中の会見でもしきりに「準備する時間はあまりなかった」と振り返った。それでも同じスペイン人のサンチェス氏が残したフィロソフィー、ケイロス氏が落とし込もうとしてきた攻守の強度をうまくピッチ上に落とし込み、選手たちの個性が活きる仕組みを整え上げた。

 決勝戦後、マルケス監督は「私には(リーグの監督経験から)全ての選手を知っているというアドバンテージがあったが、一番大事なのは選手たちがアイデアを出し合い、ついてきてくれたことだ」と勝因を指摘。「選手たちが私や我々のスタッフのサッカー理解に対し、迅速に適応し、うまく機能してくれた」と称えた。

 求められるようなポゼッションスタイルを貫くことのできない試合もあり、準決勝のイラン戦、決勝のヨルダン戦はいずれもボール保持率は50%以下。それでも「もう少し良いプレーができた試合もあったが、最終的にはチャンピオンシップを勝ち取らないといけないものだ」と前向きに受け止め、勝利にこだわりながら歩みを続けてきた。

 その結果のアジア連覇。これまでの仕事との変化について「代表チームの仕事はクラブとの仕事は違う。クラブの仕事は日常の仕事であるが、代表ではトーナメントが始まるほんの少し前に指揮を執るようになったばかりだった」と冷静に見つめた指揮官は「ベストを尽くせなかった試合もあれば、うまくできた試合もあるし、それ以上のことができた試合もあった。選手たちがアイデアと計画を実行してくれたことで勝つことができた」と達観した様子で振り返った。

 そんな偉業を成し遂げた指揮官だが、今回限りで退任する可能性もあるようだ。去就について問われたマルケス監督は「これからはアルワクラに戻らなければならないと考えているが、先のことはまだ話していない」と現在の状況を明かしつつ、「明日は何が起きるか分からない。今は答えることはできない」と話すにとどまった。

(取材・文 竹内達也)


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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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