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前日会見で「フランスの弱点」と名指しされた守護神GKロリス、歴史的143試合目で盟友阻む好セーブ連発

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フランス代表GKウーゴ・ロリス(トッテナム)

[12.10 カタールW杯準々決勝 イングランド 1-2 フランス アルホール]

 フランス代表GKウーゴ・ロリス(トッテナム)がカタールW杯準々決勝イングランド戦で、同国歴代単独最多の通算143試合出場を達成した。前日会見では「イングランドのメディアは『フランスの弱点はあなただ』と指摘しているが、彼らと決着をつけたい気持ちはあるか」という厳しい質問も向けられながら「ピッチの上で答えるしかない」ときっぱり話していた35歳。その言葉どおりの活躍により、イングランドをPKの1失点のみに抑え、前回大会に続く連覇への道のりをまた一歩前進させた。

 かつて長年にわたって最終ラインを支えたリリアン・テュラム氏の記録を破り、フランス代表の通算出場試合ランキングで単独トップに立ったロリス。2008年のA代表デビューから約15年、真摯に積み重ねてきたキャップ数を証明するかのように、プレミアリーグでプレーする自らが暮らしている国の代表チームを相手に見事なパフォーマンスを披露した。

 まずは1-0で迎えた前半20分すぎ、次々に襲い掛かってきたのは普段は共にプレーしているイングランドのエース、FWハリー・ケイン(トッテナム)だった。

 前半22分、右に開いたMFジョーダン・ヘンダーソンからのスルーパスに抜け出したケインは、ペナルティエリアの角度のないところからシュート。だが、絶妙な反応を見せたロリスが間隔を詰めて弾き返す。さらに同29分、今度はミドルレンジからケインのシュートが枠内へ。しかし、これも完璧な横っ跳びで見事に弾き出した。

 前日会見ではケインについて「本当に仲が良くて、もう9年近く一緒にプレーしているし、ピッチ内外でもお互いのことをよく理解している。イングランド代表と同じように、彼はクラブにとってもすごく重要な存在であり、真のリーダーでもある。チームメートにとってお手本であり、それ以上にトッププレーヤーである」と絶賛していたロリス。それでも、懸命に守り抜いてきたフランスのゴールを破らせるわけにはいかなかった。

 もっともさすがのケイン。後半9分には味方が与えたPKを決められ、一時は同点に持ち込まれた。しかし、その後もロリスは崩れなかった。前日会見で不安定さを指摘されていたハイボール処理も、プレッシングを受けた際のキックでも致命的なミスはなく、均衡した試合を演出。同33分にはFWオリビエ・ジルーが勝ち越しゴールを決め、再びチームは優位に立った。

 その直後にはVARの介入で2度目のPKを与える形となったが、ロリスは1失点目のPKシーンとは異なり、ほとんど動かずケインに無言のプレッシャーをかけた。そしてキックモーションに入るやいなや小刻みなステップを踏みながらボールを見つめ、蹴り出された瞬間に横っ跳び。見事に読みは合い、ボールはさらに大きく枠を外れていった。

 大ピンチを乗り越えた後には、シンプルなクロス攻撃がゴール前を襲う場面もあったが、危なげないキャッチでピンチの芽を摘み取り、そのままタイムアップ。ジルーが「われわれは守備で懸命にハードワークした。2018年の(準決勝)ベルギー戦を思い出した」と手応えを語り、ディディエ・デシャン監督が「チームのおかげ。良いところもあったが、リスクがあった」と振り返った難敵イングランドとの激闘、そのゴール前には前回大会の優勝をはじめ、母国の誰よりも多くピッチを経験してきた頼れる守護神が立っていた。

(取材・文 竹内達也)

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