beacon

星稜のU-17日本代表MF阿部、「自分を見失っていた」選手権から理想のレベルへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[2.7 ジャパンユーススーパーリーグ 四日市中央工高 4-2 星稜高 時之栖Hグラウンド]

 注目の中で臨んだ選手権は「自分を見失っていた」。星稜高のU-17日本代表MF阿部雅志(2年)は石川県予選のMVP選手として、全国大会を戦った。だがプレーに迷いが出たという阿部はがむしゃらにプレーしたが、逆にそれでリズムを崩してチームに貢献することができず。初戦から準々決勝まで先発したものの、準決勝で先発を外れ、決勝では出場機会がなかった。優勝の歓喜の中で味わった「(1年時も含めて)全国大会は毎年悔しい思いしている」という無念。「大舞台で力を出せるように。不調でもいいプレーできるようにしたいですね。(今回の全国大会で自身のプレーが良くないことは)ずっと感じていました。自分のプレーを見失っていて。何していいか分からなくなって、迷っていた」

 成長しようとする想いの強さも特別。主軸に成長していった一方で「自分がやらなければ」の想いが募り過ぎたのかもしれない。ただ、大舞台で学んだことは今後へ活かすだけ。自身とチームの成長を考えて日々に取り組んでいる。この日の試合後はボードを手にチームメートと話し合う姿が見られた。プレーの面でも、前半から押し込まれる展開の中で阿部自身のミスもあったが、「(チーム全体が)前に行けていなかった。何か自分がアクセントつけられればという気持ちはいつも持っている」という阿部は重心の低いドリブルで局面を打開。ボールを奪いに来るDFの逆を取りながら何度も前進する。そして0-2の31分には左CKで得点に絡み、後半28分には中央からのスルーパスでゴールを演出した。

 チームは敗戦。だが、強豪との戦いから得るものもあった。「(四日市中央工は)一人ひとりが自分からやっているというか、自分の意志でやろうとしている。こっちのチームは逃げ、逃げで気持ち的にも負けている」。ただし、押し込まれて点差が開いてから、危機感を持ったチームは変化。一人ひとりが意見を出し合い、プレーにも厳しさが増した。「危機感というのが一番大切。例えば危機感があれば、みんなやるんですよ。やらなあかん、と。一人ひとりが危機感を持っていかないとダメ。まだ始まったばかりなのでここから。きょう負けたけれど、インターハイ、選手権の時に逆転できるようにする」。気持ちで負けず、危機感を持って成長していずれ逆転して見せるつもりだ。

 この1年間、阿部はAFC U-16選手権の日本代表に選出され、選手権後にはU-17日本代表として海外遠征を行った。ただ、自分が理想としているレベルにまで成長できていないという思いがある。「自分、まだまだなんで。例えば、監督が言おうとしていることを自分が全部言えるようなリーダーシップとか、コーチとかも自分にどう指示していいか分からないというか、(自分の理想は)それくらいのイメージ。それくらいを目指していきたいです」。世代を代表するMFだが「自分はまだまだです」を繰り返した阿部。胸を張って1年間を終えられるか、彼にはそれをやり遂げるという決意と意識の高さがある。

(取材・文 吉田太郎)

TOP