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[横山杯]内容と結果求めた前橋育英がPK戦を制して3年ぶりV。1年生FW高足がMVPに

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前橋育英高が3年ぶりに横山杯を制した

[12.28 横山杯決勝 習志野高 1-1(PK4-5)前橋育英高 若松競技場]

 強豪校の新チームの1、2年生が「サッカータウン波崎」(茨城)で力を磨く「全国ユース招待サッカー大会 ~YOKOYAMA MEMORIAL CUP~」は28日、若松運動場で決勝を行い、前橋育英高(群馬)が1-1からのPK戦の末、5-4で習志野高(千葉)に勝利。3年ぶり4回目の優勝を果たした。なお、大会MVPには前橋育英のFW高足善(1年)が選出されている。

 今年の横山杯は大会規模を縮小。新型コロナウイルス感染予防を徹底し、無観客で開催された。18チームによって争われた大会の決勝は、ともに予選リーグから4連勝で勝ち上がってきた習志野と前橋育英のカードに。熱戦を制した前橋育英のチームリーダー、CB桑子流空(2年)は「本当にチームで取った勝ちというか、選手間の個人差や強さという意味では全く無くて、誰が出ても勝ち切れるチーム。全員出ることができたし、全員で勝ち取った優勝だった。山田(耕介)監督も見に来て下さって、一人ひとりの意識が高くて、試合中にアピールするぞというのがあって、それが良い方向に行ってくれたので勝ちに繋がったというのがあります」と微笑んだ。

 ともに4-4-2システム。習志野のGKは荻原智輝(2年)で右SB高橋拓也(2年)、CB飯田蒼也(2年)、CB細井響(2年)、左SB松金陸斗(1年)の4バック。中盤はキャプテンのMF佐伯亮太(2年)とMF三橋陽(2年)のダブルボランチで右MF松村大輝(1年)、左MF青山倖大(2年)、2トップは森谷寅太(2年)と山本龍之介(1年)がコンビを組んだ。

 一方の前橋育英はGKが須永大進(2年)で、右SB磯村陽軌(1年)、CB桑子、CB芝崎竜之介(1年)、左SB芦田悠真(2年)の4バック。中盤は岩立祥汰(2年)と渡辺亮平(2年)がダブルボランチを組み、右MF堀川直人(1年)、左MF坂田綜太郎(2年)、2トップは高足と守屋練太郎(2年)が入った。

 序盤は拮抗した展開。前橋育英は岩立と渡辺がピッチを広く使う形で攻撃を組み立てる。そして、前線でボールを収める守屋のドリブルシュートやPA近くでのコンビネーションなどから先制点を狙う。対する習志野は相手のプレスを中盤のパス交換で剥がし、バイタルエリアへ侵入していく。細井の対角の左足キックや佐伯の飛び出しがアクセントに。良い形でボールを奪い、佐伯が左足シュートを撃ち込むシーンもあった。 

 先にスコアを動かしたのは前橋育英だった。前半24分、渡辺のループパスがPA内右寄りの位置へ飛び出した高足へ通る。高足は右足でのループシュートを選択。ボールはGKの頭上を越えて逆サイドのゴールネットへ吸い込まれた。

 高足が前線で動きに変化を加える前橋育英は、攻撃のリズムが好転。テンポ良くボールが動いたほか、守備面でも桑子が最終ラインで強さと高さを見せるなど試合を優位に進める。習志野も左サイドから仕掛けた佐伯の折り返しを森谷が左足で狙うシーンがあったが、前橋育英DFがブロック。前橋育英が1-0で前半を折り返した。

 習志野は後半開始から俊足FW森澤駿斗(2年)を投入。その直後、DF裏へのボールを追った森澤が相手DFと入れ替わる形でインターセプトし、GKと1対1となった。だが、このシュートは距離を詰めた前橋育英GK須永がストップする。森澤投入で前線のアクション、スペースを増やした習志野に対し、前橋育英は高足とMF井上駿也真(1年)を入れ替えて4-2-3-1システムへ変更。サイドからの攻撃でゴール前のシーンを作り出したが、習志野も細井を中心とした守りで決定打を打たさない。

 前橋育英はMF佐藤開(2年)やMF小松幹汰(2年)、MF山田皓生(1年)を送り出す。投入された選手が質や強度を維持する前橋育英に対し、習志野も森澤の飛び出しなどからゴールへ迫る。オープンな展開となる中、前橋育英にミス。習志野MF佐伯が相手GKのミスキックを敵陣中央でインターセプトし、無人のゴールへ右足シュートを丁寧に流し込んで同点に追いついた。さらに習志野は34分、佐伯の折り返しを受けた森澤が切り返しから左足シュート。だが枠を捉えず、決着はPK戦に委ねられた。

 PK戦は先攻・習志野3人目のシュートが前橋育英GK須永の伸ばした指先をかすめてポスト直撃。対して前橋育英は1人目の磯村から佐藤、守屋、山田が決めると、最後は5人目の桑子が右足で決めて決着をつけた。「勝つことと内容をとにかく重視して自分たちの成長に繋げられるように、と話していた」という前橋育英の中島和哉コーチは、「難しい試合でも勝てたのが彼らの成長に繋がる。ここからチャンスを掴んで公式戦のピッチに立っている選手がどのくらいいるか、楽しみ」。例年、前橋育英は選手権メンバー外の1、2年生で横山杯に臨み、1年後の選手権のピッチに立っている選手がいる。今回の優勝メンバーたちも1年後の選手権を目指して全国トップレベルのチーム内競争を勝ち抜く意気込みだ。

 前橋育英は数チームに分かれて、同時期のフェスティバルに参加。選手たちは他大会に出場しているライバルの好成績も刺激に、横山杯優勝を勝ち取った。この後、コーチ陣が各チームから1月のニューバランスカップ(裏選手権)へ向けたメンバー選考。課題もあった一方、山田監督やコーチ陣の選考を悩ませるようなプレーをした選手たちは、アピールを続けて、公式戦の出場機会を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎 取材協力 スポーツマネジメント)
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