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[MOM3697]愛媛U-18DF浅井一希(3年)_2年前のプレミア経験者が責任感をプレーで表現

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愛媛FC U-18DF浅井一希(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 愛媛U-18 2-0 旭川実高 バルコム]

 今年の愛媛FC U-18は1、2年生主体の若いチーム。加えて、2回戦を見据えて温存した3年生も多かったため、スタメンに立った3年生はわずかに3人のみだった。「苦しいゲームになると思った」という北内耕成監督の予想通り、理想とする試合運びが出来ない中でも、上手く白星を拾えたのはDFラインの中央にそびえたDF浅井一希(3年=愛媛U-15新居浜出身)の存在が大きかった。「攻守とも一生懸命やってくれているし、少ない3年生の中で、キャプテンと一緒に静かだけど、プレーでしっかり示してくれたと思います」と称えるのは、北内監督だ。

「今日はベンチに入れない3年生がいたので、ピッチに立つ僕が責任を持ってプレーしようと思っていた」という浅井だが、立ち上がりは大舞台に対する緊張と慣れないグラウンド状況に苦しみ、思い通りのボールコントロールが出来なかった。引っ張るべき立場ながら、後輩たちを鼓舞する声も出せず、反省すべき点が多かったという。

 そうした中で迎えた22分の右CKは、出だしの遅れを取り戻すチャンス。「立ち上がりは、自分のミスが多かったけど、CKだったら、自分の得点チャンスになる。責任を示すためにも、CKになったら絶対に点を決めようと思っていました」。1本目のCKで空いていたニアを狙うため、キッカーを務めるMF伊井涼馬(2年)にアイコンタクトでニアへのボールを要求。狙い通りの場所にボールが来ると、「どんな形でも良いのでゴールに入れようと思っていた」とつま先でボールを合わせて、ゴールネットに突き刺した。プリンスリーグ四国の最終節、徳島ユース戦でも同じ形で得点していたので、CKには自信はあったが、「外れたかなと思っていたら、入っていた。入った瞬間はビックリしました」と振り返る。

 先制点が生まれてからは気持ち的に吹っ切れて、思い切ったプレーが出来るようになった。後半に入ってから旭川実高は大型選手を前線に並べて前半以上のパワープレーを仕掛けてきたが、「後半は相手が蹴ってくるのは分かっていたので、事前にヘディングの練習をしていました。ロングボールが来ても自信はあった」と冷静に対処し、逃げ切り勝ちに貢献した。

 勝利の立役者となった浅井は、2年前のプレミアリーグの数少ない経験者。1年生ながら、9試合に出場し、全国レベルを肌で味わった。「プレミアで得た経験は今でもめちゃくちゃ活きている。2年生の代や1年生は強い代なので、どこまで出来るかというのを見たいし、めちゃくちゃ期待している。そのためにも今年で上げてあげたい。(2年前は)苦しい1年でしたが、毎回全国レベルの相手と出来たので、自信が付いた。今では良い経験だと思っているので、後輩たちにも同じ経験をして欲しい」。

 後輩たちのためにという想いと共に、普段から応援してくれているサポーターたちへの想いも強い。「トップチームがJ3に落ちてしまった分、U-18がトップリーグであるプレミアで頑張りたいと思っているので、上がりたい」。高校生活最後の舞台となる2回戦の静岡学園高(東海1)戦でも、攻守両面で活躍して、勝利に貢献するつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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