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[NEW BALANCE CUP]注目世代が“裏選手権”優勝。質追求の帝京は新たな「やってやろう」も大きな力に

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注目世代の帝京高は質追求と競争を続けて22年度の主役に

[1.6 NEW BALANCE CUP決勝 帝京高 0-0 昌平高 時之栖裾野C]

 選手たちが課題を自覚し、本気で改善に取り組んで成果を上げた。戦後最多タイの選手権優勝6回の歴史を持つ帝京高(東京)は、「NEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA」(“裏選手権”)で昌平高(埼玉)と同点優勝。FW伊藤聡太(2年)ら複数の主軸候補を怪我で欠いていたが、チャンスを得た選手がモチベーション高くプレーし、参加36チームの頂点に立った。

 現2年生は1年時からプリンスリーグ関東やインターハイ、選手権予選を経験。昨年はレギュラーの大半が下級生という若いチームで10年ぶりとなるインターハイ出場を勝ち取った。そのメンバーが最高学年となる22年。経験値が大きな強みとなる一方、ここから差を埋めてくるライバルたちを突き放す力も必要だ。その中で帝京は、競争でチーム力を引き上げている。

 チームリーダーのMF押川優希(2年)は「(現在は)誰が出てもおかしくないと思います。出ている選手が危機感持って臨んでいるので、プレーの質も上がってきているし、覇気というか、気持ちの部分も上がってきている」と頷く。

 日比威監督も選手たちの姿勢を高く評価。「(怪我人が多い中で)『やってやろう』というヤツらが出てきたのは良かったですよね。選手権の試合もそうでしたけれど、代わりにポッと入ったヤツができないじゃなくて、『それじゃ、ダメなんだ』ということにボクら(コーチ陣)よりも彼らが気づいてやろうとしている」と説明した。

 12年ぶりの出場が期待された選手権は、怪我や体調不良の選手が続出した影響で予選準決勝敗退。「誰が出ても強い」帝京を作るため、それぞれが強い意欲を持って競争に挑んでいる。本来ボランチのCB大田知輝(2年)とCB田畑勲(2年)が安定した守りを続け、中盤では押川とMF田中遥稀(2年)がクオリティーと強度の高い動き。東京屈指のFW齊藤慈斗(2年)は今大会で6得点をマークし、J注目の左SB入江羚介(2年)らも特長を発揮していた。

 準優勝した年末の「全国ユース招待サッカー大会~YOKOYAMA MEMORIAL CUP」に続き、“裏選手権”も内容のある結果。日比監督は年末年始が「帝京にとって有意義なものになった」と評価し、「2月までに怪我人が戻ってきて、もう一回競争できるようにしないといけない」とさらなる進化を求めた。

 帝京は近年、「止める・蹴る」のベースが高い選手たちが集結。ボールを保持し、1タッチを交えた流れるようなパスワークでの崩しを“らしさ”とするチームに変化してきた。日比監督は「キレイなサッカーをやるから良いのではなくて、時には泥臭くやるけれど、その中でもスキル、判断の高さを身に着けないといけないと。(将来のことを考えて)追求してあげないといけない」と語る。

 新たな形が共有され、受け継がれている上に、成長・勝利への意欲、そして個のタレント性も光る今年は勝負の一年。押川は「練習でもワンツーとか崩しの練習をやっている。(今回の“裏選手権”でも)その成果が出ている」と認めた一方、「(他の課題は)失点を減らすことと最後の決定力のところ。良いところまで行って最後決めれなくてカウンターで失点とかあるので、仕留める力が必要だと思います」と指摘する。競争の中で質、勝ち切るチームになることを徹底して求め、22年度は必ず全国舞台で輝く。

(取材・文 吉田太郎)

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