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期待の世代が「勝ってやろうぜ」とまとまり、東北準V。東北学院は「全国基準」身につけて夏冬の夢舞台へ

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東北学院高は東北新人戦で準優勝。好守のCB佐藤春樹主将は個人、チームのレベルアップを誓う

[1.31 東北高校新人選手権決勝 尚志高 1-0 東北学院高 Jヴィレッジ]

 選手権出場4回、90年インターハイで3位に入ったこともある東北学院高(宮城)が東北新人戦で存在感を示した。宮城県新人戦決勝で仙台育英高を1-0で破って優勝した東北学院は、今大会初戦で東奥義塾高(青森)に4-0で快勝。続く新屋高(秋田)戦を1-0で制すと、準決勝では花巻東高(岩手)との延長戦を注目FW渡邉幸汰(2年)の決勝点によって競り勝ち、初の東北新人戦決勝進出を果たした。

 主将のCB佐藤春樹(2年)は、「延長後半に幸汰が決めてくれて、ちょっと嬉しくて泣いちゃったんですけれども……」と振り返る。決勝では昨年のプリンスリーグ東北王者・尚志高(福島)相手に0-1で惜敗。だが、佐藤やGK桑原優治朗(2年)を中心とした粘り強い守備から、MF加藤岳(2年)やMF小野寺環(2年)らが中央からグラウンダーで繋いで攻め返し、エースFW渡邉がチャンスを迎えるシーンもあった。

 佐藤は「今日の1試合目(準決勝)だけじゃなくて昨日(準々決勝)も噛み合わないところがあったので、そういうのを乗り越えて尚志に結果的には0-1で負けてしまったんですけれども、これを糧に成長していけるな、課題もあったのでまだ伸びれるなと思う東北新人でした」と頷く。

 東北学院の現2年生は1年時に尚志などを退け、U-16全国大会に出場している期待の世代だ。渡邉に加え、俊足FW野木夢翔(2年)、ともに大型の右SB鑓水新葉(2年)、CB大友豪士(2年)ら個性的な選手が多い。東北学院が最後に選手権出場したのは87年度だが、彼らは本気で選手権出場、全国上位を目指している。

 そのチームに対して、橋本俊一監督が求めているのは、「全国基準」の高い強度。「選手権を僕も見に行って、(選手達に求めているのは)高い強度のゲームを継続してやるということ。(以前は)すぐに文句言ったり、倒れたりがあったので、途切れさせないように黙ってやれと。今日(準決勝・決勝)はまだ倒れていたけれど、少しずつ良くなってきた。1試合目(準決勝)もタフなゲームになったけれど、怯むことなく戦ってくれたので、収穫は多かったかなと思っています」。ディフェンスの強度や決定力などまだまだ課題はあるが、4試合を戦い、強敵・尚志にも食い下がるなど前向きな大会となった。

 守備の要、際の勝負を「気合」で守る佐藤は「空中戦がウリなんですけれども通用しないオフェンスもいた。DFラインの統率もあるし、やることがいっぱいですね」と微笑。昨秋の選手権予選準決勝で延長戦の末に敗れた聖和学園高との差を「落ち着き」の部分だと分析するDFは、この日の尚志戦でも体感した「落ち着き」を重視し、チームに求めていく。

 個性派揃うチームをまとめるのは簡単ではないようだが、主将は今大会、「頑張ろうぜ、勝ってやろうぜ」と一丸となって戦う仲間たちの姿に感動。一体感ある戦いで結果を残せたことをインターハイ、選手権予選やリーグ戦に繋げ、同時に課題を一つ一つ改善しながら「全国の基準」を持つチームを作り上げる。プリンスリーグ東北昇格も大きな目標。そして近年、仙台育英がリードしてきた宮城の覇権争いを自分たちが制し、必ず全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)

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