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移動バスでも指揮官の後ろで言葉を吸収。明桜の注目MF佐藤拓海主将はチーム、自身のために学び続ける

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後半24分、明桜高MF佐藤拓海主将が頭で決めて1点差

[1.31 東北高校新人選手権準決勝 尚志高 2-1 明桜高 Jヴィレッジ]

 0-2の後半24分、明桜高(秋田)は左のFW畠山昴琉(2年)がDFのマークを外してクロス。これをMF佐藤拓海主将(2年=ベガルタ仙台ジュニアユース出身)がDFと競りながら頭で合わせてゴールネットを揺らした。

 当初はニアへ飛び込もうとしたというが、相手CBにスペースを埋められたことでファーへ。そして、「別に僕、身長高くないし、ヘディングそんな強い訳じゃないですけれども、クロスからのヘディングは自信があるので練習から結構決めています」というヘッドでチームを勢いづけた。

 佐藤は中学時代、ベガルタ仙台ジュニアユース(宮城)で現在もチームメートのFW藤山成弥(2年)と2トップを組んでいたという。明桜進学後、1年時からチャンスを掴み、切り札の役割を担った。選手権全国大会にも出場しているストライカーは今大会、身体の強さやセカンドボールの回収を期待されて4-1-4-1の中盤で起用されている。

 その中盤でも存在感ある動き。そして、原美彦監督が「果敢にゴール前、頭で突っ込んで行ける選手だから。それを何も言わなくてもできる。コイツは可能性あるし、もっと経験させたら化けるなというのがある」という佐藤は、FW岡崎慎司のように泥臭くゴールを決め切った。

 原監督は佐藤の人間性の部分も高く評価。「人の話をよく聞くし、理解している。(バス移動の際は)運転席の後ろで僕らの話を聞いている。察知力とか感度が高いです」と明かす。それに対し、佐藤は「僕は原さんの話を聞くのが好きなので」と微笑。名門・国見高(長崎)コーチ時代にFW大久保嘉人氏ら数々の名選手を指導し、“キングカズ”ことFW三浦知良とも親交があるという指揮官の話から刺激を受け、またその考えをチームメートと共有しようとしている。

 佐藤は、「(原監督は)最終的には人間性が大事と言っていて、いくらそこまで上手くなかったとしても、人間性で上手くなっていく人を原さんはたくさん見てきている。少しでも原さんの思っていることをみんなに伝えられたら良いと思っています」とコメント。自分たちからの意見もコーチ陣に取り入れてもらいながら、主将は主体性を持って強いチームを作ろうとしている。

 キャプテンとして意識していることがある。「やっぱり、まだまだ1年生が2年生にビビっちゃって声出せなかったり、自分のプレーができなかったり、上級生のことを尊敬しすぎて自分を出せなかったりするので、そこは課題かなと思ったりするんですけれども……。年下に対する声がけが大切だなといつも思っています」。Jクラブのアカデミーや高校でも経験値ある主将は、相手を尊重することと同時に自分たちも「できる」という自信を持つことのバランスを重視。チームのために学びと目配り、気配りを続けながら、プレーヤーとしても上を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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