beacon

180cmの2年生GK 鮎澤太陽は「頭を使う」こと意識し、結果も残して日本高校選抜入り

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本高校選抜GK鮎澤太陽(尚志高2年)は先輩GK2人を押しのけて出場チャンスを勝ち取るか

 サイズの不足を「頭を使う」ことで補い、評価も高めてきた守護神だ。GK鮎澤太陽(尚志高2年)は、U-17日本高校選抜選考合宿でアピールし、年上のU-18日本高校選抜選出。尚志高(福島)の恩師でもある仲村浩二監督から「スタメン取れるように頑張れ」と言葉を掛けられて日本高校選抜の活動に臨んでいる。

 平田俊英GKコーチ(聖和学園高)、また吉田優翔(桐光学園高3年)、佐藤瑠星(大津高3年)の2人の先輩GKから学びながらの日々。前回の合宿では大学生との練習試合で好セーブを連発したのに加え、ハイボールも確実にキャッチし続けて見せるなどライバルたちと遜色ないプレーを見せた。

 ただし、「自分は身長無い中で頭を使わないといけない。まだまだやっていきたい」と慢心した様子は見られない。今回の合宿では、「プロになったら上下関係とかなくなってくると思う。リーダーシップを取ってやっていかないと上にいけない」と語るように、将来を見据えてより積極的にコーチングやコミュニケーション。その上で、迫力のあるセービングを見せるなど、2年生GKはチャンスを掴むためにできることへ取り組んでいる。

「(U-17高校選抜ではなく、U-18の)高校選抜の方に入れて素直に嬉しいですけれども、出なければ意味がない。少ない時間の中でコーチ陣にどれだけパフォーマンスを見せられるが勝負だと思うのでこだわっていきたい」

 鮎澤は浦和レッズジュニアユース出身。現在登録180cm、76kgのGKはユースチームに上がることができず、18年度選手権で躍進した尚志への進学を目指して合格した。昨年の尚志はCB チェイス・アンリ(3年)を中心に堅守を発揮。そのチームの中で鮎澤は勝負どころでビッグセーブを見せるなどインターハイ、選手権出場に貢献し、全国大会の計3試合では一度もゴールを許さなかった。

 先輩のアンリやCB安江海ラウル(3年)の陰に隠れていたものの、鮎澤も評価を上げる一年に。特別なサイズを持たず、悔しい思いも経験してきたGKは様々な人々を見返す形で、日本高校選抜入りも果たして見せた。

 尚志進学後にこだわってきた部分について、鮎澤は「判断力もそうですし、頭を使うということを尚志に入ってから大事にやってきたと思う」と説明する。考えるということは浦和ジュニアユース時代から意識してきたことでもあるという。

 当時2学年上には、東京五輪日本代表のGK鈴木彩艶がいた。サイズ、身体能力ともに別格。「1年生の頃、彩艶君は中3でその時からプロの練習に行ったりしていたので、それにどう勝てるかは良く考えていました」。鈴木のようにユースチームへ上がることはできなかったが、頭を使って守ることは現在もベース。加えて上達させてきたハイボールの対応などを磨き上げ、この1年でよりチームを勝たせる存在になる。

 高校選抜では先輩2人を追う立場だが、「やっぱり(試合に出て)自分がどれだけできるか知りたい。高校選抜でチームとしての結果も大事だと思うのでデンソー(カップチャレンジ)もそうですし、明日(静岡県ヤングサッカーフェスティバル)の静岡県選抜も勝てたら良い。出たらチームを勝たせるプレーをしたい。出なくてもチームが勝つためのことができたら良い」。自分でチャンスを掴み取り、尚志のプレミアリーグ昇格や選手権優勝、そして自身の将来のための経験を積む。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

TOP