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プリンス開幕戦は黒星も、新生・藤枝東は個々の技術力と「ゴール前の人数を増やす」「点を獲る」を表現

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1-2の後半31分、藤枝東高はスルーパスに反応した右SB海貝俊輔主将が右足シュート

[4.2 高円宮杯プリンスリーグ東海第1節 浜松開誠館高 2-1 藤枝東高 浜松開誠館総合G]

 プリンスリーグ東海開幕戦で敗れたものの、名門・藤枝東高(静岡)は目指す攻撃スタイルを表現していた。いずれもレフティーのMF出水志耀(3年)、MF泉新之助(2年)、MF渡辺皐(2年)のトライアングルを中心にポゼッション。前半はやや繋ぐことに固執しすぎたことで相手のプレスを受けてしまっていたが、それでも前半半ば以降はスペースへの配球も交えた攻撃でリズムを掴み、相手を押し込み続けていた。

 試合開始直後の失点にも慌てることなく、落ち着いた戦い。特に後半は、「相手の守備の仕方でFWが一枚で追ってくる感じだったんで、(味方の2人の)CBのところで越せるなと分かっていたので、前で数的優位を作った方が良いと考えた」という右SB海貝俊輔主将(3年)と左SB大場翔太(3年)が、積極的に前線を追い越して攻撃に厚みを加えていた。

 ヘッドコーチを経て今年から指揮を執っている鷲巣延圭監督は、97年に藤枝東が全日本ユース(U-18)選手権を制した時の主将。伝統的なパススタイルを継承する指揮官は、「(前監督で現ヘッドコーチの)小林(公平)がやっていたこと、立ち位置のところを考えたり、ポジショナルなところは継続的にやっていきたいんですけれども、点獲るところにもっとフォーカスしてやると最初から言ってきている。まず人数増やすよ、ゴール前の人数を増やすよというところは段々やってくれている」とゴール前に人数を掛けて崩すスタイルが形になってきていることを説明する。

 この日も前半半ば以降は主体性を持ってボールを保持。セカンドボールを連続して回収し、攻撃に人数を掛けて攻め続けた。だが、「点獲るところに人が少なかった」と残念がる。後半19分にセットプレーで突き放された藤枝東は、同24分に交代出場MF砂押解世(3年)のスルーパスからFW中島悠翔(3年)の折り返しをFW良知英祥(3年)が押し込んだ。指揮官も頷くような鮮やかな崩しによる得点だったものの、その形の崩しをより増やしたかったことも確かだ。

 静岡県はコロナ禍の影響で県新人戦が中止。3月、急激にコンディションを上げたことで負傷者が出るなど、主軸を欠いたことも痛かった。それでも、開幕戦で個々の技術力の高さを披露。この日欠場した高速ウイングのMF中村朔良(3年)や怪我明けで交代出場のMF砂押、渡辺・泉の2年生レフティーコンビ、この日1人でシュート5本のFW井藤璃人(3年)ら攻撃陣中心に選手層が厚く、楽しみなチームになりそうだ。

 新主将の海貝はオフ・ザ・ボールでのスプリントなどで攻撃を活性化するSB。この日、スルーパスで抜け出してシュートも打ち込んでいた攻撃的SBは、「(ポジション争いで)立ち位置としては厳しいですけれども、この高校でキャプテンできることは誇りに思いますし、今回負けてしまいましたけれども、プリンスで優勝して、インハイ・選手権優勝することが目標なので、それへ向けてチームをまとめないといけない」と意気込む。

 そして、「ここ最近、なかなか全国に出れていなくて、自分たちの代で全国獲りたいというのもありますし、それへ向けて一戦一戦こだわっていきたい」と加えた。3月のプーマカップでは、同じ公立の強豪校で選手権準優勝の大津高(熊本)に1-2で惜敗。「自分たちの時間もあった」(海貝)という手応えがある一方、失点や決定力の部分についてはまだまだ改善しなければならない。この日の敗戦で課題になったことを修正し、まずは1勝。目標へ向けて攻めて、点を獲って、勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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