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J内定MFの前に立ちはだかった左SB西尾駿。奈良育英は個人、チームとしても秋冬へ向けて自信となる一戦に

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奈良育英高左SB西尾駿(右)は東山高のC大阪内定MF阪田澪哉相手に健闘

[7.9 高円宮杯プリンスリーグ関西2部第1節 東山高 1-1 奈良育英高 東山高G]

 奈良の伝統校・奈良育英高は、後半39分の失点によって1-1で引き分け。梶村卓監督は「最後のところまで粘れる力はないかなと思いますね。(また、チャンスになりそうなシーンで)チャンスにしきれていない。プリンス上位と私たちの差かなと思います。チャンスになっていないし、ゴールになっていないので、そこを直さないと上では戦えない」と指摘する。

 今季はプリンスリーグ関西2部で開幕3連勝も、その後5連敗。メンタリティーの部分含めて状態の悪い中で迎えたインターハイ予選も、勝ち抜くことができなかった。だが、悔しい思いをしながらチームは少しずつ変化。やるべきことをやれなければ、結果を引き寄せられないことに気づけたことは大きい。

 この日は「全員が声出して戦えて、全員が覇気を持って前にプレス行くと言っていました。最初は上手く出せなかったんですけれども、徐々にみんなが覇気を持ってできるようになって良い試合ができたと思います」(DF西尾駿、3年)という90分間。完璧ではなかったものの、自分たちのやるべきことにチーム全体で取り組んだことが好ゲームに繋がった。

 梶村監督も前向きな評価。全国的にも上位と言われる東山相手に自分たちのやるべきことを表現し、勝利目前の戦いができたことをポジティブに捉えていた。今季の奈良育英は、首位・近大附高に唯一黒星をつけており、この日も価値あるドロー。この90分間を経て、個々も、チームも、今後への自信を掴んでいた。

 左SBの西尾は、C大阪内定のU-18日本代表候補MF阪田澪哉(3年)とマッチアップ。「全然速かったです。ボール触る前にもっと奪わないといけないと思います」。その一方、細かなスプリントを繰り返しながら彼に入って来るボールを阻止し、相手がやや怪我を抱えていたとは言え、1対1の勝負でも突破を阻み続けていた。

「守備に関しては自信があります。インターセプトは日頃から意識しているので、そこはだいぶ通用していたと思います。今日の自分の出来は大学でも通用するんじゃないかなと思います」と西尾。梶村監督も「頑張ってくれていました。きょうは当たっていたと思います。彼(阪田)を止めていたと思います」と高評価していた。

 競り合いの強さや突破力を武器に昨冬の選手権全国大会2試合に出場。後輩のDFリーダーCB奥村央樹(2年)は、「西尾君は対人の部分で自信を持っていて、いつも止めてくれるので感謝しています」と信頼を口にする。

「攻守ともに万能なSBになりたい」という西尾は、「(チームは)最後まで走り切るだったり、全員で声を出すとか、決め切る部分が全然足りていないので、この夏に上げていきたいと思っています」。この日の戦いで自信を得た左SBはチームメートと切磋琢磨しながらさらに成長し、冬の選手権出場、全国大会での活躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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