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[MOM3987]大阪桐蔭DF神ガブリエル(3年)_空中戦で相手を凌駕。足攣らせても仲間のために跳躍し、無失点

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大阪桐蔭高CB神ガブリエル(左)は空中戦で強さを見せ続け、無失点に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.27 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第10節 京都橘高 0-0 大阪桐蔭高 京都サンガF.C.東城陽G]

 チームのために、という思いが伝わってくるようなプレーだった。大阪桐蔭高の180cmCB神ガブリエル(3年=プログレッソ十勝出身)は、「ジャンプのタイミングと落下点は意識しています。高校3年生くらいからみんなにも(強いと)言ってもらえるようになりました」というヘッドで対戦相手を凌駕。相手の抜け出しにも体を張って対応するなど決定打を打たせない。

 だが、0-0の後半半ばに足を攣らせてしまう。チームメートに処置してもらったが、足を引きずりながら動くような状況。それでも、本人は弱気な姿勢を全く見せずにピッチに立ち続け、攣らせた後も空中戦で3本、4本と競り勝っていた。

「他の10人のみんなが頑張ってくれていたので、『自分も頑張らないといけない』と思って頑張りました」と神。元々気持ちを全面に出すようなプレーヤーではなかったという。だが、「去年の先輩の姿とか見させてもらっていたら、CBで、根性あるようなキャプテン、小林柾輝さん(現桐蔭横浜大)がいて、そういう人と係わっている時に(CBは)気合だとか言ってもらっていた」。周囲にも伝わるような気迫で大阪桐蔭を引っ張っていた先輩CBから学んだ神はこの日、足をバンバンと叩きながら気持ちを奮い立たせ、後半37分に交代するまで戦い抜いた。

 永野悦次郎監督も「きょうは、ガブじゃないですかね」というパフォーマンス。ただし、本人は「きょう無失点だったのは自分だけじゃなくて、みんなが身体を張ったり、ハードワークしてくれたので。自分が良いプレーというよりはみんなが良いプレーだったので無失点だった」と仲間たちに感謝する。

 そして、「チームのみんなのために身体を張ることはできたんですけれども、丁寧さや判断力に欠ける部分があったので、そこを改善していきたいなと思いました」と反省。ヘディングについても「1回負けてしまったので全部勝ちたい」と満足感を見せず、味方に頭でしっかりと繋ぐこと、より飛距離を出すことを誓っていた。

 神は中学時代、主にFW。現在も状況に応じて前線でプレーすることがある。FWでは、味方選手が分かりやすいな動き出しを意識。起点になること、クロスから自分が決めることを目指している。それでも、希望するのはCBのポジション。今後は強豪大学へ進学して成長を重ね、プロ入りを勝ち取る意気込みだ。

 北海道出身で、中学時代プレーしたプログレッソ十勝と交流のある大阪桐蔭へ進学。「技術的なところと判断力、パス一つ一つの丁寧さはみんな上手くて……1、2年生の頃は全然通用しなくて、中学の時とはレベルが違って苦労していた」と振り返る。

 それでも永野監督やコーチ陣の指導の下、「まだまだですけれども、中学の時より人のために頑張ることとかは、ちょっとずつ備わってきた」。3年生になってトップチームでプレーする回数が増加。永野監督も認める成長株は、試合で対戦相手を上回るようなプレーを見せている。

 選手権で活躍する姿を母親ら家族や友人たちに見てもらうことが現在の目標。「これからはただ試合に出れるだけじゃなくて、チームを勝たせる選手に。リーグ戦も勝ち続けて、選手権も出て、北海道のみんなやおじいちゃん、おばあちゃんに誇ってもらえるような人になりたい」。憧れの存在はCB菊池流帆(神戸)。支えてくれている人たちのために頑張るCBが成長を続け、大阪桐蔭に一つでも多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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