[9.19 NB CHAMPIONSHIP U-16準決勝 矢板中央高 1-0 帝京長岡高 時之栖うさぎ島G]

　未明からの雨は止んだものの、ところどころ水溜りのできたピッチ。その中で帝京長岡高の1年生たちが見せるトラップ、パスは、ゴール裏で観戦していたライバル校の選手を「めっちゃ、止まる」「うまっ」と唸らせていた。

　ボールを保持しながら攻め、MF浅井隼大らのチャンスメークからFW安野匠がゴールへ迫る。だが、守備が曖昧になるシーンもあった中で前半26分に失点。左クロスからFW長澤幸来が決定的なヘッドを放つなど反撃したが、1点が遠い。

　随所で巧さを見せた帝京長岡だったが、ボールが不規則に止まるピッチに苦戦。古沢徹監督が「動かせるところで動かさないと淡白になってしまう」と指摘したように、テンポの悪くなった攻撃では堅守・矢板中央高を崩し切ることは難しかった。

　後半には、トップチームのプリンスリーグ北信越に出場している注目FW新納大吾(千里丘FC出身)を投入して反撃するも、0-1で敗戦。新納は、「最後、チーム力(の不足)というか、全員でイメージを共有できていなかったり、ミスが多かったり、集中力が切れてしまっていた」と悔しがった。

　新納は前への推進力が魅力で「どこからでも足触れますし、点にはこだわっています」というストライカー。北信越ルーキーリーグ1部で得点ランキング首位の9得点をマークし、U-16新潟県選抜として出場したトレセンリーグや国体予選でも活躍している注目株だ。

　大阪の強豪街クラブ・千里丘FCから「関西から遠いところ、選手権出れるようなところでやって日本一を」と帝京長岡へ進学。中学時代に磨いたというドリブルに加えて帝京長岡で3人目の動きなどをレベルアップさせ、トップチームで公式戦に出場するチャンスも掴んだ。

　今回、“全国大会級”の「newbalance CHAMPIONSHIP U-16」は悔しい3位。FWカリム・ベンゼマに憧れ、「どんな状況でも点獲ってチームを勝たせる選手になりたい」という新納は、10月2日に開幕する国体(栃木)で日本一に挑戦する。

　今年、U-16新潟県選抜は登録16人全て帝京長岡高というメンバー構成で国体北信越予選を突破。早生まれの2年生とともに臨む国体本大会へ向けて、新納は「国体はみんなで勝負して、勝ち切って日本一を目指したいです」と誓う。プリンスリーグやU-16の強豪校との戦いを経験し、より強度や考えてプレーすることの必要性を実感。怪我も抱えていた今大会からコンディションやプレーの質を向上させて、国体でチームメートとともに躍動する。

(取材・文　吉田太郎)