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プレミアWESTで首位肉薄の神戸U-18、逆転優勝をかけた最終節も「勝つことだけ」に集中

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前半28分、DF本間ジャスティン(左端)のゴールをヴィッセル神戸U-18の選手たちが祝福

[11.30 高円宮杯プレミアリーグWEST第5節 東福岡高 0-5 神戸U-18 東福岡高グラウンド]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 WESTは30日、延期されていた第5節の東福岡高(福岡)とヴィッセル神戸U-18(兵庫)の一戦を行い、5-0で神戸U-18が勝利した。

 第8節の清水ユース(静岡)戦から不敗を続け、首位の鳥栖U-18(佐賀)を猛追した2位の神戸U-18だが、前節の名古屋U-18(愛知)戦を1-2で落とし、負け無しは13試合でストップ。12月4日が最終節、消化試合が1試合少ない神戸は勝ち点差3の鳥栖U-18に並ぶため、この日は白星が必須だった。「負けた日は結構みんな落ち込んだというか、テンションが下がっていた。でも、次の練習からは中の3日で東福岡戦があるのをしっかり理解して、全員が“何が何でも勝つしかない”と気持ちを切り替えた」。そう振り返るのは、主将のDF寺阪尚悟(3年)だ。

 勝ち点で並んでも、鳥栖との得失点差は6も開いているため、大量得点も必要だったが、選手は平常心を保っていた。「前日はみんな『6点獲るで!7点行くで!』とか言っていたけど、簡単に勝てる相手ではない。試合前にもコーチから『まずはもう勝ち点3を獲ることを考えろ』と言われた。普通にやったら、結果が付いてくるし、点も獲れる自信も僕らにもあったので、まずは勝ち点3を獲ることだけに集中していました」(寺阪)。

 開始早々に見せ場を作ったのは、「テンション上げてくれる番長的な存在。アイツが点を獲ったら、みんなのテンションが上がって、行けると思える」と寺阪が評するDF村井清大(3年)だ。キックオフのボールを後方へ下げると、MF片山颯真(3年)が左に展開。村井がダイレクトで思い切りよく蹴ったボールが相手ゴールに向かうとGKに弾かれながらも、ゴールネットに突き刺さった。

「練習からどのように前で奪うかをやってきた。良い形でボールが奪えたから押し込む時間が多くなった」とMF永澤海風(3年)が振り返ったように、神戸は先制点を奪ってからも東福岡陣内で試合を進めていく。今季は1点目を奪ってからなかなか追加点が奪えない試合も多かったが、この日はいつもと違う。28分には、左CKのこぼれをDF本間ジャスティン(2年)が押し込み、2点目をマーク。直後の30分には相手のビルドアップを高い位置で奪ったFW冨永虹七(3年)がGKをかわし、3点目を叩き込んだ。

 後半は高い位置からのプレスと仕掛けで気を吐いたMF下川翔世(3年)、自陣からの組み立てで奮闘を続けたDF園文来(3年)が意地を見せ、東福岡が神戸エリアに攻め込む時間が増えた。ただ、「押し込まれていても、最後にゴールを奪わなければ大丈夫だと僕らは考えている。それほど危ないシュートも打たれなかった。押し込まれていても、僕らがマイナスな思考になることはなかった」と振り返る寺阪を中心に冷静に対処。パスを繋いで、「前半から今日は自分の調子が良くて、ボールを持てるなと思っていたので、ビビらずどんどん受けていこうという気持ちでやっていた」という永澤らアタッカー陣に繋げていく。

 後半22分にはFW蘓鉄航生(3年)のパスで、相手DFの背後を抜け出した冨永がゴール右隅に決めてリードを4点差に広げた。さらに30分にはゴール前に低く入った左CKのこぼれ球を寺阪が押し込み、5-0でタイムアップを迎えた。

 この結果、神戸U-18は勝ち点40で鳥栖U-18と並んで最終節を迎えることになった。得失点差も1まで詰め寄ったため、最終節もこの日同様に大勝すれば、鳥栖が勝っても逆転優勝の芽は十分ある。だが、選手はこの日と同じスタンスを崩さない。「得失点差はあまり考えず勝つことだけを信じたい。あとから結果は付いてくる。鳥栖を気にせず、最後は楽しんで全員で戦います」。そう口にするのは寺阪だ。「仲がめちゃくちゃ良いのが、今まで勝ててきている理由。このメンバーしかありえないと思っている」と続けるのは永澤で、最高のメンバーと共に最終節を楽しめば、自ずと結果が付いてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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