beacon

最終節で興國撃破し、プリンス関西1部残留。近江はV候補に挑む選手権でも「勝ちを掴みにいきたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半38分、右WB鵜戸瑛士(3番)のゴールを喜ぶ近江高イレブン

[12.3 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第18節 興國高 0-1 近江高 J-GREEN堺 S2]

 選手権でも勝ちを「掴みにいく」。近江高(滋賀)が、プリンスリーグ関西1部最終節で興國高(大阪)に1-0で勝利。敗れれば2部降格の可能性もあったが、自力で5位残留を決めた。

 前半と後半とで守り方を変え、首位チームを封じ込んだ。興國は前節終了時点でリーグトップの34得点(17試合)。CB西川楓人(3年)やMF千葉大舞(2年)を軸にボールを繋ぐ相手に押し込まれたが、近江はDF長瀧谷洸斗(3年)、DF西村想大(2年)、DF金山耀太(2年)の3バックを中心にゴール前で粘り強い守備を続けた。

 前半は攻撃の起点がなかなか作れず、我慢の戦いに。だが、この1週間で3試合目だった近江にとっては前向きな45分間だった。体力を温存した上で0-0。他会場のスコアを確認しながら試合を進めた近江は、後半立ち上がりまで後ろ重心の戦い方を続けると、そこから一転前に出た。

 前田高孝監督は「ハーフタイムに指示を出したけれど、中でやる選手たちの臨機応変さが大事だった。岡田がスイッチを入れてくれたのが大きい」とFW岡田涼吾主将(3年)を称える。その岡田は「後半の最初の方までは前半と同じような戦い方をして、途中からいきなりやり方を変えることで相手も戸惑うところがあるかなと思って。ハイプレスのところで全員が共通認識を持ってやれたことが大きかったと思います」とチームメートを称賛。同じ方向を向いて戦うことのできる集団は、豊富な運動量も活かして相手に襲いかかった。

 森保ジャパンのように戦い方を変えた後半は、敵陣でプレーする時間を大幅に増加。岡田が最前線で健闘し、左WB瀧谷陽斗(3年)が果敢な仕掛けを繰り返す。「前期見返したら(相手の)シュート、CKの数が多かった。相手のコート(で戦う時間)を増やすことにトライしていた。後半は良かった」と前田監督。引き分け以上で自力優勝の決まる興國が、がむしゃらに攻めて来ていれば守り切れなかったかもしれない。それでも、取り組んできたことを表現して攻守で前に出た近江が攻勢を続け、1点を奪い取る。

 後半38分、右WB鵜戸瑛士(2年)が「パスを受けて1タッチで中に入って行って。中の選手が呼んでいて当てて入って行ったらいけるかなと」と金山とパス交換。最後はつま先でコースを狙った一撃が「あんな上手くいくと思っていなかった。めっちゃ嬉しかったです」という先制ゴールになった。鵜戸はこれがプリンスリーグ関西初ゴール。前半は攻守ともに悔しい内容で、後半に少しでも貢献することを目指していた165cmWBが大仕事をしてのけた。
 
 前田監督は「プリンス残して、選手権出てというのが最低限の目標だった」。それを達成した選手たちが全国大会で伸び伸びとプレーしてくれることを期待する。選手権初戦の対戦相手はインターハイ3位、プリンスリーグ関東1部優勝の強豪、昌平高(埼玉)。だが、この日、リーグ制覇した興國から勝ち点3をもぎ取った集団は、選手権でも白星を掴み取る意気込みだ。

「僕らは立ち上げのところからそのようなメンタリティーでやってきたつもり。強い相手に向かって行って、倒して一つずつ上げてきた意識があるので、こういうゲームだからこそ挑戦心を持たせたい。掴みたいものがあったら、自分から取りに行かないと流れが来ない」と前田監督。15年の前田監督就任から本格強化をスタートした近江は「~Be Pirates~」(海賊になれ!)と掲げ、滋賀のタイトル、プリンスリーグ関西1部で戦う権利を掴み取った。

 2度目の選手権ではV候補撃破、上位進出へ。鵜戸は「アシストでもいいので自分の特長を活かして少しでもチームに貢献していきたい。1対1でちょっとでも負けないように練習から鍛えて行って、全国で負けないようにしていきたい。チームとしてはまずは目の前の相手に勝てるようにやっていきます」と誓い、岡田は「強い相手とできるので、全国にインパクトを残せるような結果を残せたら良いなと思います。多分、普通にやっていても全国やったら勝つのは難しいと思うので、自分らから勝ちを掴みにいきたい」と力を込めた。ボールを運ぶ部分などベースを少しでも高めて大舞台へ。そして、必ずインパクトを残す。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022
●高円宮杯プリンスリーグ2022特集

TOP