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[MOM4277]鹿児島城西FW大石脩斗(1年)_2発。本家に通じる潜在能力の“ハンパなさ”

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後半11分、鹿児島城西高FW大石脩斗(1年=太陽SC U-15)が右足でミドルシュートを決める

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.4 球蹴男児U-16リーグD1第1節 鹿児島城西高 8-1 長崎総合科学大附高 大津町運動公園多目的A]

「鹿児島城西のFW、マジでえぐい」。次に試合を行なう選手が足を止めて、鹿児島城西高(鹿児島)の試合を見入っていたのが印象的だった。まだ入学したばかりだが、4月半ばに行なわれたU-16トレセンリーグの活躍により、他校の選手にまで名前が知れ渡っているのが、元日本代表のFW大迫勇也(現神戸)も背負った9番を託されたFW大石脩斗(1年=太陽SC U-15)だ。

 中学3年生の夏までは50mを6秒2で走る俊足を武器にサイドアタッカーとしてプレーしていた。だが、得点力の高さと中学3年生になってから10cm以上伸びて180cmを越えた身長を買われて、FWにコンバートされた。サイズとスピードを備えたポテンシャルの高さは魅力十分で、鹿児島城西では入学前の3月からAチームでプレーし、サニックスカップでもプレー。大津高セカンド(熊本)と対戦したプリンスリーグ九州1部の開幕戦では残り15分から出場機会を得て、ゴールも奪っている。

「すぐトップチームに入って高い強度でやっているので、1年生だと余裕がある。いつもの3年生が相手だと当たりが強いので収める回数が少ないのですが、そこで勉強になったからこそ1年生で活かせるようになりました」

 そう口にする通り、U-16のカテゴリーに入るとその実力は抜きんでている。高校入学後に新田祐輔監督や先輩たちから教わった前線でのポストプレーで前線のターゲット役になりつつ、時折に持ち味であるスピードを活かした動きで長崎総合科学大附高のゴールに迫った。

 最初の見せ場は前半26分。味方が自陣から入れたロングボールは相手DFに処理されたが、快足を活かしてマイボールにすると相手にボールを当ててCKを獲得。FW別府拓眞のゴールに繋がった。

 2点リードで迎えた後半はストライカーらしく自らが歓喜を呼び込んだ。後半11分にはチームメイトのシュートは相手GKに阻まれたが、「GKが出ているのが見えたので、打とうと思った」とゴールまで約25m付近の位置からダイレクトで打ち返し、チームの3点目をマーク。37分にはMF重盛響輝がミドルゾーンから盛り上がって放ったシュートのこぼれ球を豪華に決めた。

 示したポテンシャルの高さは絶大だった。だが、本人はこの日の結果に満足していない。試合後には「今日は5点ぐらい決められるチャンスがあった。あまり点数が獲れなくて悔しいです」と唇を噛んだ。

 中学時代から九州内では知られた存在で、9チームから誘いを受けたが、「城西で全国を獲りたいと思った」。鹿児島城西のOBに大迫というロールモデルがいるのは彼にとっては好都合。高校に入ってからは高校時代のプレー集を何十回と見て、ストライカーとして感覚を高めてきた。

 まだFWとしての経験値が浅く、落下点の予測や細かな動きに課題はあるが、この日見せた潜在能力の“ハンパなさ”は本家に通じる物がある。「高卒プロを今は考えていないのですが、大迫勇也選手を体現できる選手になりたいです」と意気込むストライカーが、高校3年間でどんな成長曲線を描くのか楽しみだ。

(取材・文 森田将義)

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