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父は千葉などで10番背負った名手。千葉明徳FW工藤陸豊がドリブル、ラストパスで日体大柏を攻略

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FW工藤陸豊(3年=ちはら台南中出身)は3得点に絡む活躍。千葉明徳高の関東大会初出場に大きく貢献した

[5.13関東大会千葉県予選準決勝 日体大柏高 2-4(延長)千葉明徳高 ゼットエー]

 後半、延長戦と異質の、また「お父さん譲り」の動きを見せていた。千葉明徳高は、FW工藤陸豊(3年=ちはら台南中出身)が後半終了間際の同点ゴールと延長戦の2発に絡む活躍。関東高校大会初出場に大きく貢献した。

 前半はロングボールが増える中でなかなか特長を出すことができなかった。「触れなくて、メンタル的にも落ち込んでいるというか、そういう感じだった」と苦笑する。それでも、前半終了間際にドリブルから左足シュートを枠に飛ばすと、後半は相手の背後を突く左足パスや左足クロスでチャンスメーク。また、随所でボールを収めて反撃の中心になっていた工藤が、選手権全国8強・日体大柏の守りを翻弄する。

 1-2の後半40+2分、左サイドでボールを持つと、DF2人に挟まれていた状況からドリブル突破。「囲まれていた方が自分的にはやりやすくて、足出してくれるのが見えるというか、スペース使うのが得意なので」。2人をかわし、さらにゴールへ迫ったところでカバーのDFに引き倒されたように映ったが、ホイッスルは無し。それでも、こぼれ球からMF櫃本泰輝(2年)の上げたクロスが相手オウンゴールを誘い、土壇場で同点に追いついた。

 工藤は直後にもドリブルで相手の守りを切り崩し、右足シュート。これは相手GKの好守に阻まれたが、延長戦で2アシストを記録した。延長前半8分、左サイドからDF2人の間を狙ったドリブル、パス。「(元々は間で受けて配球するボランチや左SHで)自分は元々パスも得意。見えていたので通すだけでした」と中央のMF菅野文太(3年)の勝ち越しゴールを演出した。

 さらに延長後半2分には、中央からの絶妙なスルーパスでMF赤澤宏樹(3年)のダメ押しゴールをアシスト。ジェフユナイテッド千葉での指導歴を持つ吉岡英樹監督も「彼の持ち味は相手を見て逆を取ってというところ。センスはお父さん譲りで楽しみ。足りないところはたくさんありますけれどね」と課題の改善、さらなる活躍に期待を寄せていた。

 工藤の父は千葉、京都、松本で10番を背負ったMF工藤浩平(現栃木シティ)だ。Jリーグ通算463試合出場42得点。日本代表にも選ばれた経歴を持つ父は、工藤にとって「デカいです」という存在だ。

 アドバイスは「『陸豊らしく楽しんで』、と一言だけです」と微笑。だが、「試合前は『楽しんで』くらいですけれど、動画見せたらアドバイスしてくれたりします。聞きたい時にすぐに聞けて、自分のためにアドバイスくれたり、困っている時にアドバイスくれたり色々教えてくれます。ボール来る前の周りの確認とかボールタッチは昔から言われていて、それは意識しています」。父と吉岡監督の繋がりもあって進学した千葉明徳で躍動中。これからさらに飛躍することを目指している。

「今後は大学行ったりしてプロになりたいです。(将来は)世界レベルに。誰にも取られないくらいドリブルできる選手になりたい」と宣言。注目の高校ラストイヤーについては、「全員で笑って終われるように。明徳来て良かったなと思えるくらいのサッカーがしたいです」と力を込めた。八千代高との千葉決勝や関東大会でも活躍を続け、自身の将来の可能性を広げる。


(取材・文 吉田太郎)

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