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「まだまだ余白はある」。選手権8強の日体大柏は敗戦を受け止め、よりタフなチームへ

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日体大柏高の大型左SB岡田ナミトは攻守に存在感のある動き

[5.13関東大会千葉県予選準決勝 日体大柏高 2-4(延長)千葉明徳高 ゼットエー]

「正直、ここで(課題が)出て良かったと思うし、ここからインターハイ予選が始まるし、チームとしてはここでもう一回引き締められると思う」

 3連覇を狙った日体大柏高は後半アディショナルタイムに追いつかれ、延長戦で惜敗。だが、根引謙介監督は敗戦を前向きに捉えていた。チームは1月の全国高校選手権初出場でベスト8。注目度が高まった中で新シーズンをスタートしている。選手たちは昨年を意識しすぎることなく、真摯に自分たちの取り組みに集中。県1部リーグは開幕4試合で3勝1分とプリンスリーグ関東昇格へ向けてまずまずのスタートを切っている。

 この日は前半にゴール前の競り合いで不運なハンド。PKで先制を許したが、セットプレーから右SB宗村将吾(3年)のゴールで同点に追いつき、1-1で前半を折り返す。すると、後半4分にはCB神野匠斗(3年)の好パスと左SB岡田ナミト(3年)の正確なクロスからFW吉村友佑(2年)が勝ち越し点をマークした。

 神野は入学直後から先発も、2年目の昨年は先発に定着することができなかった。だが、この日は高さを発揮し続け、正確なフィードを随所で見せるなど中心選手のプレー。昨年からゴールを守るGK原田眞透(3年)のファインセーブもあった。同じく全国8強経験者の岡田はスケール感の大きな動きに加え、声と動作でチームを鼓舞。また、新エースの10番MF片野拓久(3年)が攻撃のポイントになり続けるなど、各選手が個性も見せていた印象だ。

 個人頼みになることなく、チーム全体で連動したビルドアップや崩し、守備にトライしていた。だが、根引監督は相手のシステム変更に上手く対応できず、「マイボールにするところで不用意にミスがあった。そこは交代選手含めてちょっと質が低かったのはあった」と指摘。また、「ゴールまであれだけ迫っていても得点できていない訳ですから。コントロールできていたようで不用意に失点しているんで」。3点目を奪い切ることができず、逆に流れの悪かった後半終了間際にオウンゴールで同点に追いつかれた。

 そして、延長戦で2失点。その中で、注目左SB岡田は延長後半に馬力のある動きを連発していた。指揮官はこの力を評価。「本人とも話して『ポジティブだったよ』と。でも、延長の最後の最後であれが出せるんだったら、試合を通して出し続けて欲しいし、それで(体力が尽きて)ダメになったらそれで良いんじゃないという話をしました」。賢い選手であるがゆえに、80分間の中でやや力をセーブしてしまう部分があった。「リミットを外してあげたい」と語る根引監督は、岡田ら各選手がより力を出し切れる状態に持っていく考えだ。

「ただ負けたで終わるんじゃなくて、これをどうするかが一番大事なので。トレーニングからどう意識持ってやるかだと思うので。毎日のサイクルだと同じように感じてしまうと思うんですけれども、(目指すのは)常に試合を意識させながらやれるかなというところだと思います」(根引監督)

 昨年のエースFWオウイエ・ウイリアムズ(現柏)のような飛び抜けた選手はいないかもしれないが、チームに対する期待感は今年も大きい。「まだまだ余白はあるので。少しずつタフになっていけばいい」と根引監督。敗戦をしっかり受け止め、課題を改善してインターハイ予選に臨む。

(取材・文 吉田太郎)

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