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“影武者”から“越える”選手へ。神戸U-18DF本間ジャスティンがプレミアで得点と圧倒を目指す

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ヴィッセル神戸U-18のU-19日本代表DF本間ジャスティンが右サイドから攻め上がる

[7.9 高円宮杯プレミアリーグWEST第11節 静岡学園高 2-0 神戸U-18 時之栖]

 プレミアリーグWESTで首位に立つ静岡学園高(静岡)と3位に付けるヴィッセル神戸U-18(兵庫)の勝点差は5。直接対決となった前期最終節は、神戸にとって勝点差を縮める格好のチャンスだったが、ミスからの2失点により0-2で敗戦。試合後、U-19日本代表DF本間ジャスティン(3年)は「僕たちの課題は奪った後の広げ方や奪われた後の対応。そこが雑なので、奪われた時こそ冷静に対応しなければいけない。これから課題を無くしていきたい」と反省を口にした。

 悔やまれる試合となったが、後半は決定機を演出するなど決して悪い試合ではなかった。本間自体も及第点以上のパフォーマンスだった。前半は前日から続く濃霧の影響で、視界不良でのプレー。「霧で前が見えないので相手GKのロングボールに対する対応が難しい。僕たちはFWが速いので背後にどんどん蹴って行こうと話していました。守備の対応も難しかったので、チャレンジ&カバーを意識していました」と振り返る。

「自分は足が速いのが武器なので、どれだけボールの移動中にサイドハーフを寄せられるかを考えていました。僕が前に入ったら抜かれることはない」。言葉通り、対面するサイドハーフにボールが入った瞬間を逃さずアタックし、着実にボールをハント。攻めに転じる回数が増えた後半は後半7分にFW田中一成(3年)とのワンツーからクロスを上げるなど、奪った勢いのままオーバーラップ。また、高い位置では持ち前の強肩を活かして、ロングスローで見せ場を作るなど攻守に奮闘する姿が印象的だった。

 ただ、この日を含めて今季のプレーには満足していない。3月に行なわれたU-18日本代表のキャンプで左足の内側靭帯を痛め、1か月近く戦線離脱。プレミアリーグ第2節の東福岡高(福岡)戦で途中出場し、実戦復帰を果たしたが、「自分の出来はまだまだ」と話す。その理由は、得点だ。昨年は開幕戦でセットプレーから奪ったゴールを皮切りに7点をマークしたが、今年は無得点が続いている。

「守備に関してはできて当たり前かなと思っていますが、攻撃が足りない。昨年は1節目から点が獲れたから感覚が掴めたけど、今年はまだ感覚が掴めていない。点が獲れるサイドバックの方が、これからの将来があると思うけど、そういう所に関してはまだ足りない」。1点獲れば波に乗れるイメージはあるだけに、待望の今季初ゴールを奪って点も獲れるサイドバックであることを示したいという。

 試合に敗れたこともあって、言葉からは反省が目立ったが、180cm近い高さに速さを兼ね備えた選手は希少価値が高く、トップチームの評価は高い。5月に行なわれたルヴァンカップの名古屋戦では残り10分からピッチに立ち、プロデビュー。「ポゼッションが課題だと感じた。トップチームは前に速いので、走力に関しては(酒井)高徳選手や(飯野)七聖選手と比べて欠けている」と課題を口にする一方、「対人はマジでやれる感覚がある」とも続ける。

 負けん気の強さも魅力だ。今年1月に行なわれたトップチームのキャンプに帯同した酒井高徳から「影武者になって」と頼まれる動画がクラブのSNSで公開され、話題になった。以降は街を歩いていても「高徳!」と声をかけられる機会が出てきたが、複雑な想いを抱いているという。「影武者と言われて嬉しい気持ちはあるけど、やっぱり悔しい。自分の方が上になりたいし、越えなければいけない。“ジャスティンの影武者が高徳”と言われるようにこれから頑張っていこうと思っています」。

 本家を超えるためには必要なのは、自信だと考えている。「高徳さんを越えるためには、まずプレミアで圧倒しないといけない。負けていたら、個人としてもチームとしても自信が付かない。勝ち続けて、どんどん自信をつけたい」と意気込んだように、後期は自らの得点で白星を積み重ねて、本家の座を奪い取る。

(取材・文 森田将義)
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