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[MOM4409]桐光学園MF松田悠世(3年)_「もっとサッカー上手くなりたい」。夏に特別な経験をした10番が先制弾

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前半11分、桐光学園高のU-18日本代表MF松田悠世(3年=シュートJrユースFC出身)が左足で先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.3 高円宮杯プリンスリーグ関東2部第10節 桐光学園高 7-0 西武台高 桐光学園高校G]

 夏に特別な経験をした10番が、桐光学園高(神奈川)をゴールで勢いづけた。前半11分、桐光学園は右サイドでFW宮下拓弥(3年)からパスを受けたMF松田悠世(3年=シュートJrユースFC出身)がゴール方向へドリブル。そのまま左足でファーサイドのゴールネットを揺らした。

 相手DF、GKのタイミングをズラし、利き足の「左」で鮮やかな先制ゴール。「自分がドリブルした時、(DFは)不用意に飛び込めないと思ったので、そこは冷静にかつ自信があったので、上手く点取れたかなと思います」と胸を張る一撃だった。

 決めた状況を含めて鈴木勝大監督も高く評価した1点目。松田はさらに右サイドからのドリブルでDFを引きずるように前進して見せる。その後も得意のドリブルでゴールへ迫ったほか、18分には中央でのキープ、スルーパスで2点目を演出した。相手がドリブルを警戒して来る中、4点目もアシストするなどパスでもチャンスメーク。守備意識も一際高く、攻守で勝利に貢献した。

 松田は8月、SBSカップでU-18日本代表に初招集。「代表に入ることは高校に入る前に一番の目標にしていたので、素直に嬉しかった」という年代別代表チームでの活動で、鋭いドリブルなど特長を発揮した。一方でゴール前への持って行き方やラストパスは上のステージで活躍するための課題に。成長する必要性を体感できたこと、また代表チームで犠牲心の大切さを学べたことは大きかったようだ。

「個人としては代表なんで日の丸背負っている分、自分が良いプレーをしようというのではなくて犠牲心というところで代表が勝つためにまず死ぬ気でやるというのがベースになっていて、ミーティングが1日3回くらいあって叩き込まれるという感じで犠牲心というのは凄く学んで、その上で自分の技術や良さが乗ってくると思いました」

 桐光学園に戻ってチームメートに伝えたのは、代表常連のMF鈴木陽人(名古屋U-18)のプレー。「一回、逆サイドでボール取られた時に(鈴木が)猛ダッシュでカウンター防いだ場面とかチームに言って、そういう一人の選手の一つのプレーで得点を防げるということは伝えました」。世代トップレベルの選手たちはキツイ時間帯でもチームのために走り、戦う。松田は「犠牲心を持ってチームを第一にやっていければ上のカテゴリーのチームにも競り合って全然勝てると思っている」と語り、その姿勢を桐光学園に強く求めていた。

 松田はこの夏、「上手くなりたい」という欲がとても強くなったという。「もっと自分に厳しくやって、(将来も)ずっとサッカーだけやっていきたいので、もっとサッカー上手くなりたいと思えるような夏だったので、これから冬に良い形で持っていけるようにしていきたい」。鮮烈ゴールを決めるなど躍動しながらも敗れたインターハイ決勝、特長を表現した一方で結果を残せなかったU-18日本代表……特別な経験がその思いを強めている。

 元日本代表MF中村俊輔氏らが背負った10番の後継者。元日本代表MF藤本淳吾氏やU-22日本代表MF西川潤(鳥栖)ら数々の名手が10番を担い、チームを勝利へ導いてきたが、未だ選手権優勝を成し遂げた選手はいない。23年の10番がその歴史を変えるか。鈴木監督はプレー面だけでなく、精神面でも成長することを期待。松田はポジティブと厳しさの両方を持ってチームを引っ張る考えだ。

「一人でプレー面とか雰囲気とか変えられるようにしていきたい。きょうみたいに自分が点を取れればこのチームは点を取れるとこの1年戦ってきて感じているので、もっと勢いに乗せられるような怖い選手になりたい」。夏の経験を活かし、もっと上手く、もっと怖い選手になる。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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