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「1試合ずつ、死ぬ気でやっている」米子北が神村学園を1-0で下し、3連勝

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米子北高がホームで勝点3を獲得した

[9.16 高円宮杯プレミアリーグWEST第14節 米子北高 1-0 神村学園高 どらドラパーク米子球技場]

“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 WESTは16日に第14節が行われ、米子北高(鳥取)と神村学園高(鹿児島)が対戦。米子北が終盤に決勝ゴールを決めて1-0で勝ち、3連勝を飾った。

 10時開始ながら公式記録の気温が38.2度という猛烈な暑さの中で行われた一戦は、米子北が開始25秒で1本目、1分30秒で2本目のCKを得るなど、立ち上がりは押し気味に進める。しかし、10分に相手のビルドアップにプレッシャーをかけてボールを奪い、MF柴野惺(2年)が右足で狙ったチャンスは左に外れて決まらず。14分にはFW森田尚人(3年)が右サイドでロングパスを収めて突破、神村学園GK川路陽(3年)の位置を見て右足で狙ったものの、クロスバーに当たって上に外れた。

 序盤はペースをつかめなかった神村学園も、MF佐々木悠太(1年)、U-16日本代表MF福島和毅(1年)などが徐々にライン間でパスを受けられるようになり、攻撃のリズムが好転。じわじわとゴールに迫り、23分にはDF難波大和(3年)が右足でミドルシュートを放つも、上に外れて決まらない。

 前半終了間際には、U-17日本代表のフランス遠征から12日に帰国したばかりながら先発したMF吉永夢希(3年)がエリア内左サイドからニアサイドへクロス。ベガルタ仙台への加入が内定しているFW西丸道人(3年)が、ジャンプしながら右足で合わせたが、米子北GK尾崎巧望(3年)が防ぎ、スコアが動かないまま前半を終えた。

 後半も双方がチャンスを作るものの、なかなかスコアが動かない。神村学園は10分に右サイドを崩し、センタリングが左サイドに流れたところを佐々木が左足で狙ったが、上に外れてしまう。米子北は12分にFW鈴木颯人(2年)が左サイドに流れてパスを受け、センタリングをMF田村郁颯(3年)がヘッドで合わせたが、こちらも上に外れた。

 その後も試合はスコアレスのまま進んだが、残り10分を切ってから大きな動きを見せる。

 まずは35分、神村学園は左からのセンタリングを、エリア内右サイドで待っていたMF大成健人(2年)が左足で蹴り込んでネットを揺らす。ついに均衡が破れたかと思われたが、主審が副審に確認した結果、シュートの際にオフサイドがあったとして得点は取り消された。
 
 それでも攻め込む神村学園は40分、吉永が左サイドからドリブルで切れ込み、左足でミドルシュート。強烈なグラウンダーのボールが米子北GK尾崎を破ったものの、右ポストに当たったボールが倒れていた尾崎の元にはね返り、キャッチして再び得点とはならず。
 
 その直後の36分、ついにスコアを動かしたのは米子北だった。左サイドでのスローインをDF藤原壮志朗(3年)がロングスローで投げ入れると、エリア内でのこぼれ球をFW愛須隆聖(3年)が奪ってセンタリング。エリア内の密集を抜けたボールを、中央で待っていたMF熊谷弾(1年)が左足で蹴り込んだ。
 
 その後に神村学園も反撃に転じ、後半アディショナルタイムの45+2分にはゴール前でMF平野あいと(3年)がフリーで狙うビッグチャンスを作ったものの、素早く間合いを詰めた米子北GK尾崎が右足に当ててCKに逃れる。その後も押し込まれたが、8分に及んだアディショナルタイムを守り切って試合終了を迎えた。
 
 神村学園は後半に主導権を握ったものの、1点を奪えずに惜敗。「3年生が、いろいろな責任から逃げる。結局は、そういう日頃の部分がゲームにも出る」と語った有村圭一郎監督は、「決めなければいけない、決まったというシーンが何回かありましたが、決まらない。決定機があれだけ外れれば、やられますよね。攻守において軽いというか、ゲームの際(きわ)のところを取り切れない」と厳しく評した。
 
 前節に続く連敗となり、今年度が初参戦のプレミアリーグWESTで6勝1分け7敗と黒星が先行することに。ハイレベルの相手との戦いの中で「厳しい戦いが多いですが、だからといって負けていいかと言うと、そうじゃない」と指摘した有村監督は、「現実から目をそむけない、やり続けるしかない中で、軽いプレーがあったりして、それが失点につながったり、チャンスにならなかったりする。そういうところに、もう少し目を向ける必要がある」と課題を挙げていた。

 米子北は、中村真吾監督が「前半に良い形を作りましたが、点が入らなかった。後半はヤバいなと思っていたら案の定、あれだけ押し込まれた」と振り返る苦戦を強いられながらも、初の3連勝を飾った。後半に足がつる選手や負傷者が出たため、10人での戦いとなった時間も長かったが、粘って勝機を引き寄せている。

 指揮官が「5、6点取られてもおかしくなかったし、(2-0で勝った前節の)大津高戦もそうだった」と振り返ったように、ポストに救われたシーンもあったとはいえ、「先のことを考えているわけではなく、1試合ずつ、死ぬ気でやっている」という姿勢が結果につながった格好。「負け試合を何とか物にした。交代選手が頑張っていたし、今日の勝利は大きい」と選手たちの頑張りを称えていた。

(取材・文 石倉利英)
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石倉利英
Text by 石倉利英

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