beacon

「ここでもまれながら試合に絡んでいきたい」と進路に仙台を選択。FW西丸道人は神村学園で「結果だけ」を求め、巻き返してプロへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

仙台内定の神村学園高FW西丸道人

[9.16 高円宮杯プレミアリーグWEST第14節 米子北高 1-0 神村学園高 どらドラパーク米子球技場]

 試合終了のホイッスルが鳴ると、両手をヒザについてうなだれた。シュート1本に抑えられて無得点に終わり、チームも0-1で敗戦。神村学園高FW西丸道人(3年)は「フィニッシュまで持っていく形が良くなかった。トラップしてから、というプレーが多く、(U-17日本代表MF吉永)夢希とのコンビネーションも合わなかった」と厳しい表情で振り返った。

 立ち上がりからパスを呼び込もうと前線で細かい動き出しを繰り返したが、なかなかシュートを打てない。この試合唯一のシュートは前半終了間際、MF吉永の左からのセンタリングをジャンプしながら右足で合わせたものの、GKにセーブされてしまう。「ちょっと軌道を変えて、タイミングをずらしたシュートにしようという意図でしたが、コースが甘かったですし、威力も弱かった。ああいう形が増えてくれば、相手にとっては嫌だと思うので、もっと増やしていきたい」と課題を挙げた。

 今年度のエースでありキャプテンでもあるストライカーは、チームとしても初参戦のプレミアリーグWESTで華々しいスタートを切った。開幕戦で1得点すると、第2節では4得点、第3節では3得点を挙げて2試合連続のハットトリックを記録するなど、驚異の開幕7試合連続ゴール。計12得点の大爆発で大きな注目を浴びた。

 だが第8節で初の無得点に終わると、4試合連続ノーゴールでインターハイ(全国高校総体)による中断期間に入り、そのインターハイも無得点で1回戦敗退。プレミアリーグ再開初戦の第12節で久しぶりのゴールを決めたものの、その後はこの日も含めて2試合連続無得点と、一時の勢いが衰えている。

「マークが厳しくなったこともありますが、ゴール前で少し相手に引っ張られるようなプレーで負けてしまったり、周りからは見えないところの、小さな駆け引きのレベルが落ちている」と現状を自己分析。さらに「開幕してからチャレンジャー精神で、勝たなければいけないという強い気持ちがありました。いま、その気持ちがないわけではないですが、自分自身も含めて、チーム全体で薄くなっていると感じる。それが要所要所で、プレーの軽さとして出ていると思う」と強調した。

 9月4日にはベガルタ仙台への加入内定が発表された。今年に入って練習に参加し、「競争が激しくて、ビッグな選手がたくさんいる。自分もプロに行くなら、ここでもまれながら試合に絡んでいきたいと強く感じました」というピッチ内の環境に加え、「本当に人が温かく、優しい人が多くて、安心して暮らしていけると感じたことも決め手になった」という。

 プロ入りが決まり、今後より厳しくマークされることになるはずだ。「周りを生かしながら、もちろんストライカーなので得点を決めなければいけないですが、まだまだ足りない」と現状を評した有村圭一郎監督は、今年度当初の好調時と比較して「チームに対する献身性が足りなくなってきている。献身的にやってチャンスがめぐってきていたのに、いまは自分の好きなことしかやらない。あれではプロに行っても絶対に通用しない」と厳しく指摘する。

 エースとして、キャプテンとして求められるものは、ただ一つ「結果だけ」だと自覚している。シーズンも終盤に入り、「神村学園で結果を残し、プレミアリーグと選手権でチームを勝たせて、良い形で卒業したい」との思いを強くしている。

 プレミアリーグの戦いの先には、高校選手権がある。昨年度は初のベスト4進出を果たしたものの、準決勝で岡山学芸館高(岡山)に3-3からのPK戦で惜敗。西丸は2人目のキッカーとして登場するも右ポストに当てて失敗し、悔し涙を流した。

「前回の選手権に出た選手で、一番悔しい思いをしたのは自分だと思っています。今年こそは、という気持ちは誰よりも強い」と言葉に力を込める。「結果がすべてなので、示していきたい」と続け、今後の巻き返しを期していた。

(取材・文 石倉利英) 
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2023特集
石倉利英
Text by 石倉利英

TOP