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[MOM4427]川崎F U-18GK濱崎知康(3年)_年代別代表も経験してきたキャプテンが“スーパーセーブ”で4連続完封勝利を手繰り寄せる!

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川崎フロンターレU-18の守護神でキャプテン、GK濱崎知康(3年=川崎フロンターレU-15出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.17 高円宮杯プレミアリーグEAST第14節 前橋育英高 0-3 川崎F U-18 前橋育英高校高崎グラウンド]

 代表招集や出場停止などで毎試合センターバックの顔ぶれが変わる中でも、4試合連続での完封勝利を最後尾から支え続ける安定感が、とにかく際立っている。それはまさに守護神と呼ぶのにふさわしいパフォーマンス。加えてキャプテンとしてチームを束ねるリーダーシップも、実に頼もしい。

「守備陣としてはゼロが4試合続いているので、そこは手応えを感じながら、もっと点を獲れる場面は絶対にありましたし、そこを決め切るところだったり、ゴール前の精度をもっと上げていけばもっと楽な試合になると思うので、そこも練習から突き詰めてやっていきたいです」。

 プレミアリーグEAST連覇を狙う川崎フロンターレU-18(神奈川)の頼れるキャプテン。GK濱崎知康(3年=川崎フロンターレU-15出身)はさらなる成長を、チームにも、自身にも、厳しく課している。

 リーグ戦4連勝を懸けて、前橋育英高と対峙した一戦。前半戦の守備陣を支えたDF山中大輝(2年)と出場停止のDF林駿佑(1年)が欠場する中、センターバックにはU-17日本代表のフランス遠征から帰国したばかりのDF土屋櫂大(2年)と、ボランチが主戦場のMF由井航太(3年)が前節に続いて起用されることになる。

「櫂大が代表に行ったり、駿佑が今節は出場停止だったりとか、そこで由井の力を借りてというところだったので、センターバックが本職ではない由井に全部負担を掛けるのではなくて、周りがサポートしながら、ということは少し意識しながらやりました」という濱崎は、ビルドアップ時にも守備時にも由井のポジショニングに細かい指示を送り続ける。

 前半は前橋育英がボールを握る時間も少なくなかったが、選手たちはピッチの中で判断し、相手の出方にも柔軟に対応していく。「育英はボールを持てるチームなので、自分たちが持つ時間が少なくなるということはわかっていましたし、そこで無理やり取りに行って剥がされるよりは、まず守備からというところを意識しながら、声を掛けながらやっていました」(濱崎)。

 チームを率いる長橋康弘監督も「こちらとしてはどんどん前から行くつもりでしたが、案外構えているので、『そっちの方がやりやすいのかな』と思って見ていました」と言及したように、少し構えるような戦い方は選手たちの決断。その中心にキャプテンの存在があることは言うまでもない。

 2-0で迎えた前半のアディショナルタイム。川崎F U-18に絶体絶命のピンチが訪れる。浮き球のパスに相手のフォワードが好トラップで抜け出し、完全に1対1のシーンを作られたが、守護神は至って冷静だった。

「最初はオフサイドだと思ったんですけど、そこで止まったらダメですし、しっかり自分の間合いで、しっかり止まって対応できたので、そこは良かったですね」。至近距離からのシュートを完璧なシュートブロック。時間帯を考えても、このワンシーンが勝敗に与えた影響は非常に大きかった。

「久々ですね。自分はスーパーセーブをする感じのキーパーではないので、『いつかスーパーセーブで止められたらな』と思っていたんですけど、ここで出て良かったです」と笑顔を見せた濱崎のスーパーセーブで事なきを得たチームは、後半にも1点を追加して3-0で快勝。試合後にはコーチングスタッフも交えたハイタッチで、勝利の歓喜を共有した。



 昨年の8月に初めてBalcom BMW CUP 広島ユースに臨むU-17日本代表に選ばれてから、継続的に年代別代表へ招集され、今年の6月にはU-19日本代表としてフランスで行われたモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)にも参加するなど、世代有数のゴールキーパーとしての経験を重ねている。

 8月にU-18日本代表が参戦したSBSカップのメンバーには選ばれなかったが、「1回代表に呼ばれなかったことで凄く悔しい想いはしましたけど、この日常から変わっていかないといけないなとは思ったので、ここからさらに意識高く練習や試合に取り組みたいですし、今は失点もゼロが続いているので、そこには手応えを感じています」と言い切った言葉からは、さまざまな経験をポジティブに受け止めていることも窺える。

 次節の相手は昌平高。前半戦で唯一土を付けられた相手だけに、そのゲームはベンチから見つめていた濱崎も、自ずと気合が入る。「ここまで昌平だけに負けているので、気持ちを見せるところもそうですし、今日よりももっと良いプレーをしないと勝てないと思うので、フロンターレらしいサッカーはもちろんですけど、守備のところで戦う部分や最後に身体を張るところをしっかりやれば勝てるのかなと思います」。

 また、会場も今季初となる等々力陸上競技場がその舞台。去年のプレミアでも3戦3勝と相性の良さを誇っており、濱崎も「やっぱり自分も目指している場所ですし、プロの選手が活躍している場所なので、等々力のピッチに立てるということは楽しみです。今日の試合も大きな声や手拍子でサポーターが後押ししてくれましたし、等々力ではもっと大きな声を出してもらえるのかなと。それが力になるので、引き続き応援をお願いしたいです」とサポーターとの共闘に想いを馳せる。

「次もスーパーセーブがないのが一番ですけど、ピンチでは最後に自分が止めて、しっかりチームの士気を上げられたなと思います」と少し控えめに語った、等々力での活躍宣言。憧れのスタジアムで堅実なプレーの先にある濱崎の“スーパーセーブ”が飛び出すかどうかも、今から非常に楽しみだ。



(取材・文 土屋雅史) 
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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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