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エースのプライド。1チャンスで先制点の市立船橋FW郡司璃来「点を取ってチームを勝たせられるようにしたい」

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名門・市立船橋高のエースFW郡司璃来(3年=JSC CHIBA出身)がドリブルでゴールへ迫る

[9.24 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 尚志高 1-1 市立船橋高 尚志高校第3G]

 試合後、尚志高(福島)のスタッフや関係者からは「あそこで、郡司に持たれたら……やっぱり上手い」「これがサッカーだなと。郡司君にやられました」という声が聞こえてきていた。0-0の後半36分、市立船橋高(千葉)はカウンターからMF佐々木裕涼(3年)がDFのタイミングを外す形でスルーパス。最後はU-18日本代表のエースFW郡司璃来(3年=JSC CHIBA出身)が右足でゴールを破った。

 そこまで、チャンスを作り続けていたのは尚志の方。すでに15本を超えるシュートを放っていたのに対し、市立船橋は攻撃時のミスが増えるなど、ほとんどシュートを打てていなかった。だが、得点シーンではエースFW郡司がPAへ抜け出し、GKとの駆け引きからシュート。ファー下を狙った一撃はDFに当たってコースが変わったものの、ゴールネットに吸い込まれた。

「自分的には良いシュートとは言えないんですけれども、結果的には入ったので良かったと思います」と郡司。これがリーグ戦出場12試合で9得点目のゴールとなった。劣勢の中で奪った1点に「(この1点で勝ったと)思いました」。だが、市立船橋は残り2分にPKを献上。引き分けに終わり、プレミアリーグEAST首位・青森山田高との勝点差は14へ開いた。

 この日の前半、チームはややボールを大事にしすぎてしまい、DF背後へのパスはわずか。裏抜けを得意とする郡司は、抜群のスピードとテクニック、強さによって1本のパス、五分五分のボールをチャンスへ結びつけられるFWだ。また、チームには質の高いボールを蹴れる選手も揃っている。

「1本でチャンスになるチームでもあるし、それも強みでもある。もっと裏蹴っても良いんじゃないかなと思いました」。回数は少なかったものの、実際に郡司の裏抜け、ドリブルからチャンスになったシーンも。後半は攻撃が整理される中、エースは1チャンスを狙い続けてさすがのゴールを決めた。相手も認める実力を発揮。前節欠場したFWはチームに迷惑をかけた分を一つ取り戻した。

 今夏のインターハイで郡司は2ゴールを挙げたものの、準々決勝で敗退。目標の日本一には届かなかった。また、U-18日本代表として出場したSBSカップ(8月)は、交代出場1試合のみで負傷離脱。代表活動に加え、Jクラブへの練習参加によって市立船橋を離れた時期がある。また、先週のプレミアリーグは体調不良で欠場。個人として「結構迷惑かけてしまったのがあったので、きょうはしっかりと結果を残さないといけないという気持ちでやりました」。そして貴重なゴールを決めたが、もちろん満足はしていない。

「まだ試合数が残されている中、勝ち切れないのが自分たちの課題であるので、そこを改善しながら、プレミアもここからどんどん勝っていって、選手権に良い流れを持っていけるようにしていきたい。(得点シーンのような)ああいうところで持って、シュートまでは行けているんですけれども、そこで決め切んなきゃ、自分的にはエースと名乗れないと思う。点を取ってチームを勝たせられるようにしたいです」。プレミアリーグEASTは首位・青森山田高と勝点14差で優勝は難しい状況だ。それでも、プレミアリーグで白星を重ね、選手権日本一に繋げるだけ。郡司はエースのプライドを持ってゴールを決め、市立船橋を勝たせる。



(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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