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[プリンスリーグ関東1部]0-2の後半24分から3発!三菱養和SCユースが帝京に逆転勝ち!

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後半43分、三菱養和SCユースの2年生FW中村圭汰が右足ループで決勝点

[9.30 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第14節 帝京高 2-3 三菱養和SCユース 帝京科学大学千住総合グラウンド]

 9月30日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東1部第14節が行われ、三菱養和SCユース(東京)が逆転で4試合ぶりの白星を収めた。4位・帝京高(東京)と対戦した三菱養和は0-2から3点を奪い返して3-2で勝利。8位から6位へ順位を上げている。

「よく3点行ってくれたなというのは、成長を感じる」「残留争いの中でここから残り5試合というところのゲームだったので、勝点1でもというくらいの気持ちだったので、その中で3取れたのは大きいです」

 0-2から3点を取り返して3-2。三菱養和の庄内文博監督は選手たちの成長を実感したようだ。今年は優勢なゲームで決定力を欠くなど勝ち切れなかったほか、DFラインにけが人が続出した後期は浦和ユースに勝利したあと3戦未勝利。その間、計10失点を喫していた。

 この日は守りの要であるCB横川結(3年)が先発復帰。立ち上がりは三菱養和が押し込んだ。パスを繋いで間に入って来ようとする相手に対し、タイミング良くプレッシャーをかけてインターセプト。横川の左足フィードや、FW竹岡創(3年)のポストワークを起点に攻め返し、俊足アタッカーのFW小宮績己(3年)がドリブルで潜り込んでシュートにまで持ち込んだ。

 だが、帝京は今治内定のU-18日本代表CB梅木怜(3年)が的確なカバーリング。シュートブロックも見せた梅木やGK川瀬隼慎(3年)を中心に落ち着いた守りで得点を許さない。攻撃面では、同じく今治内定のU-18日本代表候補MF横山夢樹(3年)が止まらない存在に。明らかにスピード感が増した10番は、左サイドからの圧倒的なスピードのドリブルでDFを1人、2人とかわし、さらにPA深くまで切れ込んで行く。

 25分には左サイドからPAへ潜り込み、ポスト直撃の右足シュート。また、帝京は連動性の高いパスワークでゴール前のシーンを増やしていく。三菱養和も横川やMF瀬戸翔太(3年)の奪い返しから攻め返していたが、MF土本瑶留(3年)のゲームメークからMF樋口晴磨(3年)の左足ミドルなど多彩な攻撃を見せる帝京が先制点を奪う。

 前半42分、左サイドから仕掛けた横山が味方の動きを上手くおとりに使いながらDFのマークを外し、最後はストレートの右足シュートをゴール左へ叩き込んだ。さらに後半12分、右スローインをPAで受けたFW森田晃(2年)がダイナミックなゴールを決め、2-0と突き放す。

 厳しい状況に追い込まれた三菱養和だが、「今年は本当に元気が良いですね。アップからも分かると思うんですけども、みんな声が良く出ていて、苦しい時も自分たちが調子良い時も盛り上げていくチームです」(横川)というチームはムードが落ちない。2点差のまま食らいつき、後半開始から出場のFW中村圭汰(2年)ら交代組の活躍もあって試合をひっくり返した。

 24分、自陣からビルドアップし、スルーパスで竹岡が抜け出す。帝京CB畑中叶空(2年)が必死に戻ってタックルで止めたが、紙一重のプレーは三菱養和のFKの判定に。これを7分前に投入されたFW平石登衣(3年)が右足で直接右隅に決め、1点差とした。

 帝京は25分、横山のカットインシュートがクロスバーをヒット。逆に27分に2枚替えした三菱養和はセカンドボール回収を続け、勢いのある攻撃を見せる。そして33分、右サイドを崩し、最後は交代出場FW平野真央(2年)のシュート性のパスを小宮が胸でコントロールする。トラップはやや大きくなったものの、泥臭くゴールへ押し込み、2-2とした。

 帝京は38分、梅木のインターセプトから交代出場FW山崎湘太(3年)が右足シュートを枠へ飛ばしたが、三菱養和GK長谷川宗大(1年)がストップ。そして、43分、三菱養和はチームを盛り上げ続けていた左SB楠本達彦(2年)が左サイドで競り勝ち、前進する。中央の平野がDFを剥がして右へスルーパス。これに走り込んだ中村が「平野が良いところに出してくれた。GKの位置をちゃんと見て、ファーに蹴れば入ると思った」と右足ループシュートを決め、チームメートと喜びを大爆発させた。

「(自分が投入された時は、)0-1の状況だったので、自分が流れを変えないと、というところだったので、自分、チームを信じていたので、逆転までは持っていけるかなと思っていたので良かったです。見て欲しいところはドリブル。ずっと中学とかから突破してというところはやってきた。来年はエースです、僕が。養和なので中村敬斗君(スタッド・ランス)だったり見ていますね」という中村は大仕事。推進力を発揮していた2年生FWのゴールが決勝点となり、三菱養和はプリンスリーグ関東1部残留へ向けて貴重な勝点3を獲得した。

 敗れた帝京の日比威監督も「養和も2-0から諦めずに、良く20分間で」と讃えた逆転劇。積極的な交代策で流れを引き寄せた庄内監督は、「残り5試合が勝負どころであるので、(これまで競り負けていたような展開で)勝ち切れたのはウチにとっては本当に大きな1勝。(先発組に加え、) 交代で出ていった選手がパフォーマンスを出してくれた」と選手たちの成長、活躍に目を細めていた。

“街クラブの雄”こと三菱養和は11年から14年まで“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEASTを戦い、15年以降も激戦区・プリンスリーグ関東で上位進出や残留を続けてきたクラブだ。小宮は「プリンスリーグは強豪校やJクラブが多い中で自分たちは街クラブなんですけれども、Jクラブや強豪校に勝っていかないと自分たちの価値は上がらないと思うので、簡単に負けるのではなくて粘り勝って自分たちの価値を上げていきたいと思っています」。この日の逆転勝利で勢いをつけたことは間違いない。残り4試合、高体連とJクラブユースの強豪チームを上回り、1部残留を果たす。



(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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