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[プリンスリーグ九州1部]好調同士のJユース勢対決。大分U-18が1-0で福岡U-18を撃破

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後半24分、大分トリニータU-18MF木許太賀が右足で決勝ゴール

[10.7 高円宮杯プリンスリーグ九州1部第15節 福岡U-18 0-1 大分U-18 福岡フットボールセンターA]

 7日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 九州1部第15節が行われ、アビスパ福岡U-18(福岡)と大分トリニータU-18(大分)とのJクラブユース勢対決は、1-0で大分が勝った。

 現在2位の鹿児島城西高(鹿児島)、首位の日章学園高(福岡)を連破するなど3連勝中の福岡と、後期2勝2分と無敗の大分。ともに好調同士のJクラブユース勢対決は、紙一重の差で大分が制した。

 この日、福岡はコンディション不良などで前節から先発4人をチェンジ。一方の大分はトップ昇格のCB小野俊輔(3年)が出場停止だった。その中で、拮抗した90分間に。大分は、石橋眞和監督が「そこがないとマイボールやリズムは作れないので、そこを我慢強くやってくれたと思います」というように、強度の高い相手に対して球際のバトルで引かず、トップ昇格内定のMF松岡颯人主将(3年)らがボールを奪い取って攻撃に結びつける。

 大分は小野俊に代わって初先発したCB平川日向(2年)が健闘。その平川やCB吉良光生(3年)からボールを繋いで前進し、FW大堀葵宙(3年)やMF今村彪悟(3年)がシュートへ持ち込んだ。だが、前半は全体的に上手く中央を活用できず、思うような攻撃をすることができなかった。

 一方の福岡は、トップチームでJ1のベンチ入りも経験している右SH岩永創太(3年)が存在感を放つ。相手のトップ昇格MF木許太賀(3年)の突破を止めて前へ出たほか、キープ力と左足の技巧も発揮する。前半29分には、岩永の左足クロスから、同じくJ1ベンチ入りを経験しているCB時志仁主将(3年)がPAで胸トラップ。身体能力の高さを活かして右足ボレーを打ち込んだが、大分GK森本慎一(3年)がファインセーブでゴールを渡さない。

 福岡は6月に監督代行、8月から監督に就任した久永辰徳監督の下、特にメンタリティーと守備の部分を変化させてきた。「(シーズン途中での就任で、)今は大きく変えるリスクよりも、引き出す方が選手にとって良いのかなというのがあったので、メンタルのところと守備のところに手を着けてという感じですね。僕がメンタル面を変えたのは、勝利への執着心」(久永監督)。ボールにも執着する各選手が守備範囲広く守り、長身MF三城怜虎(3年)のヘッドなどで先制点を狙う。後半開始からは3月のルヴァンカップでクラブ最年少(16歳9か月10日)のトップチームデビューを果たしている注目FW前田一翔(2年)を投入した。

 その前田が最前線でボールを収め、MF吉田柚輝(3年)がドリブルシュート。だが、大分は後半により攻撃を好転させる。ボランチの松岡とMF山下琥珀(3年)が上手くCB、SBの間でビルドアップに係わり、左SB秋山由伎(3年)と右SB小野駿斗(3年)を押し出すことに成功。石橋監督も「後半、相手が出てこないのであれば、ボランチを脇に落としたりで絡ませて、高く持って行ってサイドから行けるようにということで送り出したんですけれども。前半よりは後半の方がSBの位置は高く行けたと思う」と語ったように、サイドの攻防で理想の展開に持ち込んだ。

 サイドを起点とする攻撃を増やすと、MF後藤雅人(2年)がドリブルで仕掛け、秋山が左足ミドル。18分には松岡のスルーパスで木許が抜け出し、右足を振り抜く。これは福岡GK足立陸矩(2年)が見事な反応でストップ。だが、大分は24分、敵陣右サイドで小野駿が奪い返し、PAへラストパスを送る。これに走り込んだ木許が角度の少ない位置から強烈な右足シュート。ニアサイドへ突き刺し、歓喜をもたらした。

 福岡の久永監督は「後半我慢比べだぞと話していた中で本当にワンチャンストリニータさんしっかり決めてきたので。我慢比べでトリニータさんにやられたという感じですね」。直後にFWサニブラウン・アブデル・ハナン(2年)を投入するなど1点を奪い返しに行く。そして、セットプレーや、セカンドボールを回収したMF楢崎佑馬(2年)の右足シュートで大分ゴールを脅かした。

 だが、大分は先制後も我慢強い守備を継続。ショートカウンターからMF小野誠竜(2年)がシュートへ持ち込むなど攻める姿勢も持ち続けて1-0で試合を締めた。大分は今年、3選手がトップチーム昇格。日本クラブユース選手権では2年連続で8強入りを果たしている。

 そのチームはプリンスリーグ九州1部で後半戦無敗を維持し、暫定4位へ浮上。プレミアリーグプレーオフ圏内の2位に食い込むことは簡単ではないが、チャンスはある。石橋監督は、「自分らは目の前の試合を一歩ずつ上がろうと。目の前の試合で良いゲームをやってそれでチャンスがあるならば、トライしようよ」とチームのスタンスを説明。「(全国トップレベルのチームに比べると、)個々の能力は劣っているかもしれないけれど、コンビネーションで自分たちのサッカーをやればやれるよね、と彼らの感覚でも少しあると思う」というチームは、目の前の一戦一戦に集中して強敵を上回る。

 松岡は「プレミアプレーオフまで、ここから負けたら厳しくなるので、ここから全部勝つ勢いで頑張っていきたい」と語り、木許も「全勝したらまだチャンスはあると思う。プレミアに行けるように頑張りたい」。上位3チームとの戦い含めて一戦必勝。かつて、プレミアリーグWESTで3位に入った経験も持つ強豪が、最高の形で23年シーズンを終える。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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