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[プリンスリーグ九州2部]飯塚の岡山内定DF藤井葉大主将は「流れを変える」選手に。全員で取り組みを求め、選手権で仲間や人工芝G完成への恩返し

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飯塚高の岡山内定DF藤井葉大主将(3年=セイザンFC出身)は「流れを変える」選手になることを目指す

[10.8 高円宮杯プリンスリーグ九州2部第13節 飯塚高 1-1 鹿児島高 飯塚高G]

「自分のプレーで一つ流れを変えるとか、士気を上げるとか、そういうことができるのが自分であり、キャプテンを任された責任かなと思うんで、選手権(やプリンスリーグの残り試合)では、そこにこだわっていきたい。自分が圧倒的な存在でないといけないなと思いますし、自分が引っ張っていかないといけない」

 飯塚高(福岡)の岡山内定DF藤井葉大主将(3年=セイザンFC出身)は、引き分けという結果に対し、一際悔しさを滲ませていた。リーダーの自分がピッチで圧倒的なプレー、チームを変えるようなプレーをすることを宣言。そして、ピッチ外の振る舞い、取り組みからチームでよりこだわっていくことを誓っていた。

 高校年代屈指の左SBだが、この日はチーム内にけが人が多いこともあってCBとしてプレー。今夏、2週間近く岡山に練習参加していたDFは、「高校サッカーとは全然違うレベルだったり、スピード感だったり、フィジカルだったりを体験できて貴重な経験でした。(攻撃面の課題を感じているが、)守備の面ではそこそこプロに行ってもやれる自信がある」という。ヘディングや対人の強さ、カバーリングを強みとするDFは、鹿児島高の速攻やセットプレーに対し、余裕を持って対応していた。

 正確な左足を持つ藤井は、スピードのあるショートパス、ビルドアップから、スペースへランニングする味方選手へロングボールを配球。また、プレースキッカーを務めた藤井は、直接の左足FKで相手ゴールを脅かし、味方のチャンスを演出するシーンもあった。

 前半は中辻喜敬監督も及第点を与える内容だったが、チームは1-1で迎えた後半に停滞。主将はここで流れを変えることができなかった。相手の流れに飲まれてしまう時間が増え、「全体の流れを変えれるような選手に今日はなれていなかった」と反省。今年、新チーム始動から自身に求めてきた「流れを変える選手になる」ことを「あとは体現するだけですね」と再確認していた。

 中辻監督は好内容のゲームが結果に結びつかないチームに対し、「なぜ良い結果が出ないのか。結果を求めるのではなくて、取り組みを求めるのであったりとか、そこをもっと上げないといけない」と指摘。そして、「サッカーだけじゃなくて、それ以外のところ。地域から応援されるとか、学校からもそうだし、応援されるチームにはならないといけない。そこがないとこれからも上がっていけないし、結果を求めれずにそこを求めれば勝手に結果はついてくる」と加えた。

 藤井も同調。「チームとしても今日勝ち切れなかったことが、最近の行動が出ているのかな、と監督も仰っていましたし、チーム全体で詰めて行くべきかなと思っているので、ここからの数週間、チーム全体で前進していけたらなと思っています」と語った。

 激戦区・福岡から台頭中の飯塚は先月、学校敷地内に待望の人工芝グラウンドが完成。これまでは練習場の筑豊緑地球技場までのバス、自転車移動含め、練習準備のために約1時間を要していた。だが、校内の人工芝グラウンド完成によって、時間をより自分の成長のために使えるようになっている。藤井は「こうやって自分らの代で良い環境にしてもらって感謝しか無いですし、自分たちにできる最大限のことを結果で示したいと思います」。チームは数年前に比べると挨拶や振る舞いなど目に見える変化。これから、学校や地域への感謝をより取り組みで表現する。

 この後は選手権予選に集中。昨年度の全国大会初出場経験者である藤井は「本当に楽しかったですね。去年、行ったメンバーは分かっていると思いますけれども、本当にあのピッチに立つだけでも、ベンチに入るだけでも本当に人生の見方が変わってくると思いますし、『高校サッカーをやって良かった』と思う瞬間だと思いますし、だから去年メンバーに入っていた人たちが去年見た景色をもう一回見れるようにチームを引っ張っていって欲しいなと思います。(自分も)福岡県で優勝して、全国大会へ行って、今まで支えてくれた方々、チームメートだったりに恩返しできるようにということを第一に考えています」と力を込めた。得点力不足などの課題はあるものの、全国上位を争えるだけの自力があることは確か。藤井は力のあるチームメートとともにピッチ内外で取り組みを続け、進化し、白星、全国切符を引き寄せる。

CB藤井葉大主将の左足FKが枠を捉える

飯塚高は待望の人工芝グラウンドが完成

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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