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[MOM4550]近江FW小山真尋(3年)_「気持ちで飛び込んで」決勝ヘッド!プレミアプレーオフへ導く2発

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後半41分、近江高FW小山真尋(3年=ヴェルデラッソ松阪U-15出身)がダイビングヘッドで勝ち越しゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.2 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第18節 東海大大阪仰星高 1-3 近江高 J-GREEN堺]

 2発でチームを初のプレミアリーグプレーオフへ導いた。近江高は1-1の後半41分、右WB鵜戸瑛士(3年) の右クロスをファーサイドのFW小山真尋(3年=ヴェルデラッソ松阪U-15出身)がダイビングヘッド。ゴール右へ沈め、勝ち越した。

 前節まで3位の近江がプレミアリーグプレーオフ圏内の2位へ浮上するためには、勝利が必要だった。小山は「最後はどっちが勝ちたいか気持ちの勝負になると思っていた。最後、自分たち勝つしか無理だったので、気持ちで押し込むしかなかったので、どんなゴールでも良いから点を決めてやるという気持ちで飛び込んで入ったので良かった」。鵜戸は自主練習でクロスからのシュートを繰り返してきた仲。信じて頭から飛び込んだ。

 ゴールを決めて「ホッとした」という小山は、暫くピッチに突っ伏したまま。「(前田高孝)監督からも試合前に『西(飛勇吾)と金山(耀太)が広島出身でこいつらを広島に帰らせて、広島で昇格戦を戦うぞ』と言っていたので、決めれて安心したというか、そういう気持ちでした」。そのストライカーは1分後にも再び歓喜をもたらした。

 42分、エースMF山門立侑(3年)のスルーパスに反応。「前に結構スペースが空いていたので、もう行くしか無いみたいな気持ちで、あの角度だったら相手の股しかない感じだった」。GKとの1対1から股間を狙ったシュートで2点目をマークした。前節まで勝ち点1差の2位・阪南大高が同時刻開催の最終節で京都U-18に勝つと、自分たちの2位浮上の可能性は消滅。だが、ベンチの喜んでいる姿を見て、自分たちが優位な状況にあることを確信した。

 近江はそのまま3-1で勝利。阪南大高が京都U-18に敗れたため、リーグ2位とプレミアリーグプレーオフ進出が決まった。この日、白星とプレーオフ切符を引き寄せた小山だが、11月の選手権滋賀県予選優勝後に前田監督から気持ちの面を引き締められたのだという。

「自分は高校でサッカー止めるので、ホンマに勝ちたいという気持ちが強くて、選手権滋賀県で優勝してホッとして安心してしまって気が緩んでしまったところがあった」。小山は小学生の頃から消防士になることが夢。高校卒業後は地元の三重に戻って専門学校へ進むという。

 その小山に対し、前田監督は「オマエ、やり切ったと思っているんだろ」「サッカーやっている以上、個人として何を目指すんや」「プロになれ、最後やったらそこを目指せ」。大学でサッカーを続けるチームメートたちは個人の成長を必死に目指している。小山も選手権の活躍次第で、もしかすると人生が変わるかもしれない。指揮官は小山の消防士になるという夢を理解した上で、最後までサッカー選手として目標を持って成長することを求めた。

 小山は182cmの長身と50m走6秒台前半のスピードを持つ大器。近江で課題の体力面も向上し、現在は前線で収める力と力強い抜け出しを見せるなどプリンスリーグ関西1部で8得点をマークした。小山の消防士になるという思いは変わらない。だが、選手権予選はあくまで通過点として、全国大会まで貪欲に成長を目指す意気込みだ。

「監督と話してもう一度ギア上げてやらないといけないな、と思いました。最後、ラスト1か月でこのチームでやるのは最後なので、時間を大切にして、一戦一戦だと思うので、しっかりと勝って、自分たちの見たことのない景色を見れるように頑張りたい」。まずは後輩や今後の近江のためにも、プレミアリーグプレーオフ(12月8日、10日)も全力で勝ちに行き、ゴールを決める。 

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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