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大舞台で残した証明の一撃。広島ユースFW井上愛簾はさらなる“ブレイク”を誓う「違いを見せられる選手に」

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FW井上愛簾(2年)

[12.10 プレミアリーグファイナル 青森山田高 2-1 広島ユース 埼玉]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 ファイナル。東の王者・青森山田高との決戦に臨んだ西の王者・サンフレッチェ広島ユースは、後半開始4分で先制ゴールを奪い取る。U-17日本代表FW井上愛簾(2年)の一撃だった。

 味方のシュートが相手GKにセーブされ、そのこぼれにMF鳥井禅音(3年)が頭で反応し、これに井上がさらに頭で反応してゴール。とっさのプレーだったが、「予測はできていたし、準備はできていた」と語るように、点取り屋としての確かな力量を感じさせるプレーで、貴重な先制弾となった。

 前半は序盤を除くと広島ペースになった試合だったが、打ったシュートはわずか1本。井上もシュートは1本もなかった。それだけに「3年生と一緒にできるのは、あと45分しかない」と気持ちを入れ直して後半に入り、「みんなでギアを上げられた」結果だった。

 その後も青森山田守備陣の背後を狙う動きなどで相手ゴールに迫り、後半33分に途中交代。青森山田の正木昌宣監督は「正直、どんどん裏を狙ってくる19番の選手(井上)がベンチに下がってくれて助かった」と語ったように、最も大きな脅威となっていた。

 今年は野田知監督が「(井上にとって)激動のシーズンだったと思う」と語ったように、シーズン途中まではセカンドチームでのプレーも多かった。だが、夏を境に急台頭してポジションを掴み、U-17ワールドカップの日本代表メンバー入りまで果たすこととなった。

 だが、その世界舞台では出場機会がありながら無得点。「フィジカルの部分とか日本では感じられないモノがあった」と課題も痛感した。「自分なりに(U-17での経験を)活かすようにしているけれど、こういう舞台でもっと違いを見せられる選手にならないといけない」とも言う。そして、青森山田の喜ぶ姿を観て、明確に誓ったこともある。

「優勝して喜んでいる姿を観て、『悔しい』という気持ちがあった。もっともっと成長して、ここに借りを返しに来ないといけないと思っている」

 ブレイクスルーを遂げた2023シーズン。ただ、その表情に満足の色はない。手応えと悔しさが同居した飛躍の年を経て迎える来季、井上愛簾はさらなる進化を目指す。

(取材・文 川端暁彦)
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川端暁彦
Text by 川端暁彦

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