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「MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16」0-2から大逆転!「気持ちの強い」「負けてても下向かん」世代の鹿島学園が東福岡を破り、決勝進出!

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鹿島学園高が大逆転勝利で決勝進出

[12.17 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16準決勝 鹿島学園高 3-2 東福岡高 時之栖うさぎ島G]
 
 全国の強豪16校の1年生が日本一を争う「2023 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16 ルーキーリーグ」は17日午後、準決勝を行った。予選リーグAグループ1位の鹿島学園高(関東3、茨城)とBグループ1位・東福岡高(九州1、福岡)との一戦は、鹿島学園が3-2で逆転勝ち。鹿島学園は初優勝を懸け、18日の決勝で大津高(九州2、熊本)と戦う。

「気持ちの強い」「負けてても下向かん」世代の鹿島学園が、大逆転で決勝進出を果たした。球際の攻防が目立つ、拮抗した序盤から徐々に風上の東福岡ペースへ。東福岡はMF堀田太陽や交代出場のMF吉川豹生が鋭いドリブル突破でエンドライン際まで潜り込み、クロスを上げ切る。

 だが、チャンスで決めきれない。前半39分にも速攻から堀田が左サイドを突破。折り返しをFW山口倫生が1タッチで狙うが、シュートは枠上へ外れた。対する鹿島学園は「自分の得意な前に行くっていうところが全国でどこまで通用するかっていうのを試したかった」というCB齊藤空人とCB中川光星が前へ出て弾く力を示す。

 また、身のこなしに秀でたMF西川大翔らがボールを動かしてサイド攻撃。前半40分にはMF松本金太朗が中央からドリブルで持ち上がり、左SB清水朔玖が右足シュートを打ち込んだ。

 0-0で折り返した試合は後半開始直後、東福岡が先制する。堀田の柔らかい左クロスをファーの吉川が対角のヘディングシュートを決めて1-0。鹿島学園は前からボールを奪いに行って松本がチャンスを迎えるも、決定的なシュートを東福岡左SB岡本有人にクリアされてしまう。

 逆にサイドから攻め込む東福岡は19分、右SB青野豊がクロス。これを胸トラップした山口が右足ボレーでゴールへ突き刺した。Aチームのプレミアリーグでもゴールを決めているエースFW山口のゴールで2-0。東福岡はピンチもあったが、左利きの184cmCB佐野遥斗を中心に要所で相手の攻撃を封鎖し続けるなど勝利に近づいたように映った。

 だが、齊藤が「『落ちんなっ』『最後まで信じろっ』と、ずっと言い続けた」と振り返り、齋藤弘貴コーチも「関東ルーキーから落ちないメンバーだったので、気持ちの強い子たちが多かったので、何とか0-2になっても落ちずにやれたことが良かったのかなと」と頷いたように、0-2でも下を向かなかった鹿島学園が逆転劇を演じる。

 後半31分、左サイドでクリアを拾ったMF秋山龍詠がゴール方向へライナー性のボールを蹴り込む。これがそのままファーサイドのネットを揺らして1点差。さらに前への姿勢を見せる鹿島学園は34分、左サイドからMF伊藤蒼空が切れ込むと、最後はゴール前のこぼれ球を松本が左足で蹴り込み、同点に追いついた。

 ベンチの選手も飛び出して大興奮の鹿島学園。ここで落ち着くのではなく、前へ出続けた鹿島学園がもう1点をもぎ取る。CKから齊藤の放ったヘッドは東福岡GK小林大のファインセーブに阻まれたものの、40+1分、秋山のロングスローのこぼれ球を清水が右足で蹴り込み、決勝点を挙げた。

「(追いついた後も、)齋藤コーチが変えず、『もう前から行け』って言われて、もうみんな どんどんゴールに行って、全員の気持ちが1つになった瞬間があのゴールやった。(この学年は)一人ひとり本当に個性が強いんで、ほんまに最後までみんなやってくれるし、負けてても下向かんし。僕もみんなに『ありがとう』って言いたいです」と齊藤。また、齋藤コーチも「PKもよぎったんですけど、もう子供たちのこの勢い見たら、行くしかないかなっていうのが、決め手ですかね」と語ったゴールによって、鹿島学園が決勝進出を果たした。

 鹿島学園は関東第3代表。関東ルーキーリーグBグループで優勝し、プレーオフでCグループ優勝の駒澤大高、Aグループ3位の西武台高をいずれも試合終盤の決勝点によって破り、全国大会への出場権を獲得した。そして、今大会は予選リーグから4連勝で決勝進出。1年生44人の中から選ばれた25人は、来ることができなかった仲間の分まで「何が何でも最後まで戦い抜く」ことを誓い合っているのだという。

 日本一まであと1勝。MF木下永愛、清水とともに国体日本一を経験している齊藤は決勝へ向けて、「やることは変えず、鹿島学園らしいサッカーで、繋いで、相手に応じてプレーして、ここまできたら、もう、一つの目標、優勝っていうところしかないと思うんで、 来てない人の分も全員が背負って、僕は鹿島学園の歴史を作りたい」。決勝の対戦相手も九州の強豪・大津。難敵を乗り越え、鹿島学園の新たな歴史を作る。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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