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[MOM4569]鹿島学園MF伊藤蒼空(1年)_ U-16全国大会でMVP!目標とする「高校ナンバーワンドリブラー」への第一歩

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前半26分、鹿島学園高MF伊藤蒼空(1年=ガンバ大阪門真ジュニアユース出身)が左足で先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16決勝 鹿島学園高 2-1 大津高 時之栖うさぎ島G]

「高校ナンバーワンドリブラーって言われるようにはなりたいです」と語る長身ドリブラーが、MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16MVPに輝いた。鹿島学園高MF伊藤蒼空(1年=ガンバ大阪門真ジュニアユース出身)は、前半26分にショートカウンターからMF松本金太朗のスルーパスで抜け出し、左足で先制ゴール。正確なファーストタッチからファーサイドのネットへシュートを流し込んだ。

 先制点でチームを勢いづけたMFは決勝点にも係わった。後半26分、同じくショートカウンターから松本のラストパスを動きながら足裏でコントロール。右足シュートはDFにブロックされたが、こぼれ球を頭で押し込もうとする。ゴールへ向かったボールを大津高DFがクリアし切れずにゴールイン。公式記録はオウンゴールとなったものの、伊藤の鋭い動きとテクニック、ゴールへの執念が生み出した1点だった。

「ドリブルのキレとか、その相手をかわすところとかは見て欲しいです」と語る伊藤は前日の準決勝でも鋭いドリブルで同点ゴールを演出。この日もボールを受けた際にはしなやかなドリブルを繰り出していた。

 憧れは元ブラジル代表の名手、FWロナウジーニョとブラジル代表FWビニシウス・ジュニオールだ。ロナウジーニョのエラシコのキレ、ビニシウスのスピードに乗った中でも見せる冷静さ。2人のドリブルを研究し、その間合いの取り方などを自身のドリブルに取り入れてきた。

 その伊藤がドリブルする上で特に意識しているのは「脱力」することなのだという。「脱力はやっぱり1番大事」。憧れのドリブラーたちのように、力を抜いてドリブルし、DFを剥がして決定的な仕事をしてのける。まだまだオフ・ザ・ボールなどの課題もあるが、自主練で磨いたきた武器を全国準決勝、決勝で発揮。「昨日のアシストとか、今日も結構自信になったっす」。表彰式でMVP選出を告げられると、驚きの表情の後に笑顔。大怪我を乗り越えての大会MVPでもあった。

 今年、夏休み初日の7月15日に左肩を脱臼。当初の復帰予定は11月だったが、それよりも数週間早く復帰し、この大会を目指してきた。コンディションはなかなか上がらなかったようだが、本人も努力。起用を続けた齋藤弘貴コーチは「やっぱポテンシャル高いんで、使い続けてみようと思って。(監督の)鈴木(雅人)先生も凄く期待している選手です」と説明し、大一番で活躍した教え子に目を細めていた。

 U-16全国大会でMVPを獲得したが、大事なのはこれから。「MVPになった分、その責任とかやっぱりあると思うけれど、1つの成長の糧として捉えていきたい。自信持って新チームからしっかりスタメン取る勢いでやっていきたい」。この日、試合会場にはU-17日本代表の廣山望コーチが来場し、高校1年生たちの動きをチェック。08年早生まれで2年後にU-17ワールドカップ世代に当たる伊藤は武器を極め、「高校ナンバーワンドリブラー」になってチャンスを掴む。


(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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