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市立船橋MF太田隼剛主将が初の高校選抜活動で存在感。吸収、成長し、大学での活躍に結びつける

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市立船橋高MF太田隼剛(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は初の高校選抜活動も成長に繋げる

[1.23 練習試合 日本高校選抜候補 4-2 U-17日本高校選抜候補]

 選手権で活躍した市船のリーダーが、初の高校選抜活動で貴重な経験を積んでいる。市立船橋高(千葉)のMF太田隼剛(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は、今冬の選手権で名門校を12年ぶりのベスト4へ導いたキャプテン。判断力と技術力、そしてリーダーシップも特長とする左利きのボランチは、日本高校選抜選考合宿でも好プレーを見せていた。

 選考合宿最終日に行われた練習試合(25分×4本)では2本目に出場し、ボランチの位置でゲームメーク。ミスもゼロではなかったものの、U-18日本代表MF松田悠世(桐光学園高3年)も称賛していた視野の広さでマークの外れた選手を見逃さない。「そこは自分ができる部分」と説明する相手の脅威となるようなパスを通したほか、スペースへの飛び出しでゴールにも係わった。

 1年時から名門校で先発のチャンスを掴み、2年時からはゲームキャプテンも務めていた。そして、今冬の選手権では攻守に渡ってハイパフォーマンスを見せたが、これまでは年代別日本代表や高校選抜に選ばれたことがなかった。それでも、今回の選考合宿で実力を改めて証明。昨年のU-17日本高校選抜経験者や年代別日本代表もいるチームで堂々の動き、またキャプテンシーを見せていた。

 ただし、本人は満足していない。「個人的には、もっとペナルティエリアに侵入する回数は増やしていきたいし、後ろからの配球は、ボランチは基本的にみんなできて当たり前な部分に今なりつつあると思うんで、 もっとゴール前でのクオリティや守備での奪う回数っていうのは、個人的にまだまだ足りないなっていう部分もあるんで、そういうところでは、もっともっとこだわっていかなきゃいけない」と引き締めていた。

 日本高校選抜の選手たちからも積極的に吸収しようとする姿勢を見せていた。特に守備の部分では、U-19日本代表歴を持つMF神田拓人(尚志高3年)の動きが刺激になったようだ。「(大学生との練習試合で)何回か逃がされるシーンだったりとか、予測の部分でちょっと出遅れて体に当てれないとか、ボールに触れないシーンがあったんで。そういう部分で言うと、神田選手とかっていうのは、守備のところでは自分よりも1枚、2枚、上手なのかなっていうのはやってたりとか、見てて感じたところです」。小柄なレフティーは攻撃面だけでなく、守備面でもトップクラスを目指していく。

 これまで経験できなかった選抜チームでの活動はやはり、大きい。大学生との練習試合では簡単に前を向かせてもらえないなど、思い通りにいかない部分もあった。この後、各地域の大学選抜チームと戦うデンソーカップチャレンジや欧州遠征のメンバーに残り、経験を成長に結びつける考えだ。

「選考は今日で終わってしまったんですけど、残ったら、より高いレベルの中で、どれくらい自分のプレーが表現できるかっていうのは、1つ楽しみなところではあります。(特に2月末開幕のデンソーカップチャレンジでは、)本当にレベルの高い大学生が、色んなところから集まってくるので、見て盗んだりとか、より多くのものを吸収していきたいなっていうのは、考えています」と意気込んだ。

 進路の桐蔭横浜大は22年度大学日本一の強豪で、近年、多数のJリーガーを輩出している。「多分、市船のキャプテンとか、ベスト4行ったとか、最初の方はそういうのを見られると思うんですけど、 もう入ったら関係ないし、やっぱり1選手として何ができるかっていうのが、大学サッカーではより求められるところだと思う。1年目からも試合には係わっていきたいですけど、強度、フィジカルレベル、技術レベルもまだまだ、桐蔭横浜さんのスタメンとかメンバーのところには、自分のレベルは程遠いと思う。ここで1個、選抜に残ることで、より高いレベルを自分自身身に付けることで、大学のサッカーでもステップアップをどんどん自分自身も狙っていけるのかなと思っています」。実績関係なしの競争の前に自力をつけること。そして、大学サッカーで高校時代以上の活躍をする。 

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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