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選考合宿中の日本高校選抜候補が関東2位・東京国際大と対戦。異なる強度の相手に食い下がり、鮮やかな崩しからゴールも

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日本高校選抜候補が強豪・東京国際大と対戦。MF中村健太(堀越高3年)は4本目にアシスト

[1.22 練習試合 日本高校選抜候補 1-3 東京国際大]

 静岡県内で選考合宿中の日本高校選抜候補は22日、東京国際大と練習試合(25分×4本)を行い、1-3で敗れた。

 日本高校選抜候補はこの日、U-17日本高校選抜候補からDF小沼蒼珠(青森山田高2年)とMF嶋本悠大(大津高2年)を招集。個人昇格した2人を加え、40名を4チームに振り分けて練習試合を実施した。

 1本目はGK鈴木将永(青森山田高3年)、右SB布施克真(日大藤沢高2年)、CB山本虎(青森山田高3年)、CB池戸柊宇(京都橘高3年)、左SB金山耀太(近江高3年)、MF太田隼剛(市立船橋高3年)とMF塩川桜道(流通経済大柏高3年)のダブルボランチ、右SH小嵐理翔(実践学園高3年)、左SH北藤朔(神戸弘陵高3年)、FW高岡伶颯(日章学園高2年)、FW宮下拓弥(桐光学園高3年)の11人で試合をスタートした。

 対戦した東京国際大は、昨年の関東大学1部リーグ2位のチームで、関東大学選抜のMF竹間永和(3年=鹿島ユース)やFW古澤ナベル慈宇(3年=青森山田高)らが先発。その東京国際大は8分、竹間が左足ミドルを突き刺して先制点を奪う。

 3本目に出場したMF松田悠世(桐光学園高3年)が、「球際のところが高校年代と全然違うなと思いました。タイトに来るし、人数掛けて来るしで、考えている暇がない。立ち位置や1歩踏み出す瞬間をもっと速めたり、逆に遅めたりっていうのは今の試合として、もっと考えるようになりました」と振り返っていたが、大学トップクラスの球際の強さ、強度を学ぶと同時に、その中で何ができるかを示す戦いとなった。

 前からの守備にチャレンジする日本高校選抜候補は山本虎や布施がボールを奪い返して攻め返す。そして、9分には小嵐が右ハイサイドへのロングボールに追いついてマイナスのラストパス。これを塩川が右足狙う。17分には高岡のハイプレスによって相手のフィードを乱し、小嵐のスルーパスから宮下が右足を振り抜いた。

 また太田の配球などから高い位置までボールを運んだが、GKを含めた東京国際大の守りは強固。逆に22分、相手のショートコンビネーションによってゴール前を崩され、最後はFW尾崎岳人(3年=堀越高)に右足シュートを決められてしまう。

 2本目はGK雨野颯真(前橋育英高3年)、右SB梶磨佐志(米子北高3年)、CB八巻涼真(浜松開誠館高3年)、CB尾崎凱琉(大阪桐蔭高3年)、左SB小沼、MF名和田我空(神村学園高2年)とMF嶋本のダブルボランチで右SH宮川昇太(佐賀東高3年)、左SH杉本英誉(青森山田高3年)、FW山本吟侍(高川学園高3年)とFW堀颯汰(帝京長岡高3年)の2トップで試合に臨んだ。

 2本目も序盤に東京国際大がゴールを奪う。7分、右サイドからのクロスをFW高橋剣士朗(3年=日本航空高)が完璧なタイミングのヘッドで決めて3-0。また、我慢の展開になりつつあった日本高校選抜候補だが、スピードを活かした守備対応でボールを奪う尾崎らDF陣が踏ん張り、攻撃に結びつける。

 名和田や嶋本の攻撃に係る回数が増え、突破力を見せた杉本と宮川の両翼のクロスがゴール前に入る。そして、19分には山本吟のスルーパスで堀が左中間へ抜け出すと、GKをかわして左足シュート。だが、ゴールカバーした東京国際大DFにクリアされてしまう。このまま2本目は0-1(合計0-3)で終了。それでも、3本目、4本目に日本高校選抜候補が食い下がる。

 3本目、日本高校選抜候補はGK平塚仁(岡山学芸館高3年)、右SB野田隼太郎(藤枝東高3年)、CB小泉佳絃(青森山田高3年)、CB渡邉優空(尚志高3年)、左SB市川和弥(尚志高3年)、MF長準喜(昌平高3年)、MF神田拓人(尚志高3年)のダブルボランチ、右SH松田悠世(桐光学園高3年)、左SH金山、FW臼田成那(明桜高3年)、FW水永直太朗(東海大大阪仰星高3年)の11人で挑んだ。

 日本高校選抜候補はともに190cmのCBコンビである小泉と渡邉や神田が相手の攻撃を食い止め、攻撃に転じる。中盤で存在感を放つ長が相手選手をドリブルで剥がし、さらにパス交換でDFライン突破にチャレンジ。味方のサポートも受けながら、連動した攻撃を繰り出した。

 左SB市川がワンツーからラストパスを通し、松田が左足ダイレクトでゴールを狙う。小泉がドリブルで中央から攻め上がるシーンも見られたほか、松田がドリブルでの仕掛けから左足シュートを連発。3本目に1点を奪うことはできなかったが、それでも、4本目に鮮やかな崩しから1点をもぎ取った。

 4本目はGK中浦悠大(京都橘高3年)、右SB小沼、CB五来凌空(市立船橋高3年)、CB山本虎、左SB布施、MF吉田裕哉(明秀日立高3年)とMF芝田玲(青森山田高3年)のダブルボランチ、右SH中村健太(堀越高3年)、左SH網代陽勇(尚志高3年)、FW小田晄平(昌平高3年)、FW西川桂太(京都橘高3年)の11人で戦った。

 その8分、日本高校選抜候補は吉田と芝田のダイレクトのパス交換から右サイドへ展開。小沼も絡んで一気に攻撃をスピードアップし、中村がSB背後のスペースへ抜け出す。そして、相手DFの準備が整う前にグラウンダークロスを入れると、最後は西川がスライディングシュートで決めた。

 待望の1点。「相手のプレスバックが遅くてスペースが空いてたんで、クロスの前に1回、相手の前に体入れて、自分のスペース確保できたんで、決めきれました」と西川は微笑む。その後も西川と小田のコンビでの崩しや小沼のロングスローからの攻撃などにチャレンジ。守備面では網代が守備意識高く自陣まで戻ってボールを奪い取るシーンも見られた。

 また、16分にはCKのカウンターから決定機を作られたが、自陣ゴール前までスプリントして戻った布施がカット。その後も相手のセットプレーなどをGK中浦や山本、五来が跳ね返し、4本目は1-0(合計1-3)で試合を終えた。

 日本高校選抜は今後、メンバーを絞って「NEXT GENERATION MATCH」(対神戸U-18)や大学サッカーの地域選抜大会であるデンソーカップチャレンジ、欧州遠征を行う。この日、高校年代とは明らかに異なる強度、スピード感の相手に対し、できることを示した選手も。選考合宿最終日の23日は年下のU-17日本高校選抜候補と練習試合で対戦する。松田が「力の差を見せつけたい」と語ったように、高校3年生中心の日本高校選抜候補はそれぞれがアピールし、勝って選考合宿を終える。


(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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