beacon

[新人戦]左足駆使した配球力とスピードも武器。佐賀東のU-17高校選抜候補左SB江頭瀬南が九州大会でも存在感

このエントリーをはてなブックマークに追加

佐賀東高のU-17日本高校選抜候補左SB江頭瀬南(2年=サガン鳥栖U-15出身)

 俊足レフティーが存在感のある動きを見せた。佐賀東高(佐賀)のDF江頭瀬南(2年=サガン鳥栖U-15出身)は、U-17日本高校選抜候補の左SB。KYFA男子第45回九州高等学校(U-17)サッカー大会(17日~20日、鹿児島)ではコンディション面を考慮されて予選リーグ第2節からの出場となったものの、特長を発揮した。

 予選リーグ突破をかけた鹿児島城西高(鹿児島)との最終節では、2-0の勝利に貢献。長短自在の左足、時に“偽ボランチ”としてゲームメークすることも特長とする江頭は、右SB田中佑磨主将(2年)とともに配球役となり、主導権を握る要因となっていた。

「(鹿児島城西戦は)相手が結構ボール蹴ってくるんで、まず自分と(田中)佑磨がCBのカバーをすること。失点がずっと続いていたから失点をまずなくしたら勝利にはなるんで意識して、上がれる時はもうどんどんチャンスを作っていこうかなって感じで入りました」と振り返る。

 そして、「キックは自信あるんで、そこでチャンスメイクをどんどんできたら。(鹿児島城西戦は)相手があまり来なかったので、自分が良い状況で蹴れるボールが多かったです」という強みを発揮。サイドチェンジを含めた攻撃の組み立て、クロスやプレースキックによるチャンスメイクの部分でもその貢献度は大きかった。

 左足キックの種類は豊富だ。「まずFWが相手のCBより強い時だったら、結構ふんわり入れてみたいな。カーブとか。そのまま落とせるようなボールでタメを作れるようにしたり、ちょっと味方の足が速かったりしたら、背後に速いボールだったり、蹴り分けはできます」と説明する。

 準々決勝の国見高(長崎)戦でも、左足FKでFW大島弘賀(2年)の先制点をアシストし、公立校で唯一4強入りする原動力になった。50m走は6秒ジャスト。今大会は怪我や体調不良でベストコンディションでは無かったが、鹿児島城西戦で最高時速34kmを記録したスピードも大きなストロングポイントになっている。1月のU-17日本高校選抜候補合宿ではそのビルドアップに係る動きについて絶賛したサッカー関係者もいたほど。攻撃性能の高さは特に注目だ。

「攻撃だったら、もうどんどんカットインとかすると視野も広がるから、それで出し入れしながらどんどん自分がゴール前に行くと人数も増えるんで、結構チャンスが多くなっていくのかなと。そこが高校選抜でもできた部分かなと思っています」

 その江頭は課題として守備面を挙げる。「上の空中戦とか。SBはそこもやり合えるようにならないとダメ。もっと(田中)佑磨みたいに相手が良い状況で持ってても一人で止め切ったり、1対2にされても絶対対応できるみたいな、そういうところがもっと個人で成長できれば、チームが楽になるかなと思っています」。上を目指すために守備面の強化や左足の質をより高めることにも取り組んでいく。

 江頭はサガン鳥栖U-15時代、主にWBを務め、先発メンバーの一人として日本クラブユース選手権(U-15)大会準優勝、全日本ユース(U-15)選手権優勝を経験。佐賀東では1年時から全国舞台を経験し、今冬の選手権は主軸の一人として初のベスト8進出を経験した。そして、U-17日本高校選抜候補入りしたDFは今後、さらに名を広める可能性がある。

 佐賀東の新チームは、左SB江頭、右SB田中佑、CB後藤光輝(2年)、CB甲斐桜助(2年)と選手権8強の4バックをそのまま残す。江頭は「去年から一緒なんで、そこはもっとやっていきたい。攻撃でも、俺と佑磨がもっと関与できて、あとセットプレーでも後ろだけで決めれるぐらい質を高めていきたい。全国1位の4バックにしたいです」。彼らと競争しながら個の力もより伸ばすつもりでいる。

 憧れの選手に挙げるのは、マンチェスター・シティの右SBカイル・ウォーカーやバルセロナで活躍した左SBジョルディ・アルバ(現インテル・マイアミ)だ。「毎回、ボランチの位置からもポケットに入るボールだったり、クロスとか、そのまま自分でゴール行けるんで。守備やったらカイル・ウォーカーは1対1がほんと強いんで、一人で完結できるようなスピードを持っている。だから、自分もそれに近づけたら」。今後も良いプレーを続けてチームの勝利に貢献し、自身をアピール。そして、プリンスリーグ九州1部昇格や各トーナメント戦での優勝を果たし、佐賀東の4バックを「全国1位の4バック」にする。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP