[12.29 天皇杯準決勝 F東京0-0(PK4-5)広島 国立]

　2大会ぶりの決勝進出は目前だった。0-0のまま突入したPK戦。FC東京は広島1人目MF青山敏弘のキックをGK塩田仁史が弾き出す。広島は3人目のDF千葉和彦もゴール上に外す失敗。PK3-1とリードし、あと1本決めればF東京の勝ちという状況まで持ち込んだ。

　ところが、4人目のMF三田啓貴、5人目のMF長谷川アーリアジャスールがGK西川周作の連続セーブに阻まれる。広島は4、5人目がいずれも成功。3-3に追いつかれ、サドンデスに突入すると、7人目のMF石川直宏も西川に止められ、万事休した。

　PK戦での大逆転負け。2大会ぶりの決勝進出、優勝は夢と消えた。「PK戦はみんなしっかり蹴ってくれたと思う。PK戦はサッカーとは別の特別なところ。だれにでも外す確率はある。そこはしょうがない」。2人目のキッカーとして成功していたDF森重真人はチームメイトをかばい、敗戦を受け止めた。

「最後までやりたかったし、1日でも長く、というのはあった」。ランコ・ポポヴィッチ監督は今季限りでの退任が決まっていた。今季からキャプテンに就任した森重自身、「形に残るもので恩返しができれば」と話していたが、指揮官の有終の美を飾ることはできなかった。悔しさが残ったまま終わりを迎えた2013年シーズン。W杯イヤーとなる来季に向け、「しっかり休みたいと思います」と言葉少なにバスへ乗り込んだ。

(取材・文　西山紘平)

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