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[MOM709]聖光MF山口有人(3年)_“攻撃の聖光”を支えるスピードスター

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 盛岡中央1-1(PK4-5)聖光 市原]

 勝利の立役者は試合後のヒーローインタビューで人目もはばからず涙を流した。

 豊富な運動量とスピードで左サイドを仕掛け続け、「彼がキーマン」と聖光・山本秀和監督が話す存在、MF山口有人(3年)。ロングボールでの攻撃を選択した前半は持ち味であるドリブルでの仕掛けこそ鳴りを潜めたが、「スルーパスを受ける時は負ける気がしない」と話すもう一つの持ち味、鋭い飛び出しからチャンスに貢献した。

 見せ場は前半15分、PA中央のFW清木善憲(3年)がポストプレーからPAに走りこみ、そのままドリブル開始。セーブに入ったGKをかわし、無人のゴールを狙ったが、DFのクリアに防がれてしまう。「決定機を外してしまい、皆から“オイっ!”と言われてしまって、このまま負ければ悔いが残ると思っていた」という後半はチームがショートパスを繋ぐ戦術に変更したこともあり、本来の持ち味を最大限に発揮。鋭いドリブル突破を幾度となく見せて、チャンスを量産し続ける。

 迎えた後半17分、左サイドを速さで抜け出し、中へ入れたクロスがDFにあたり右CKを獲得。このCKをPA手前からダイレクトで合わせて貴重な先制点を生み出した。「前半獲れなかった点が獲れて嬉しかった」という一撃だったが、「スタンドに多くの応援団がいるという緊張感もあって、筋肉がかっちかちになってしまった」ためその後は足を攣らせてしまい、後半35分に交代でピッチを後にするハメに。

「やばい。負けたらどうしようと思ったら、PKの瞬間に泣いていました」とPK戦はベンチから見守ることになってしまったが、そんな心配を他所にキッカー全員がしっかりと決めて、勝利をゲット。「さすがに初日に応援団を帰らせるわけにはいかないし、笑顔で正月を迎えたかった」という願いを叶えてみせた。勝利の立役者に対し、山本監督も高く評価し、「1点も決めましたし、ペース配分も含め、彼がもう一度成長できる機会が出来たのかなと」とコメントしたように、幸いにも足の状態に問題はない。元日にコンディションをしっかりと整え、次戦も「うちは攻撃が武器。毎試合、点を獲れる自信はある」という聖光の攻撃陣を彼が牽引するだろう。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 森田将義)
【特設】高校選手権2012

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