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[MOM921]市立船橋MF室伏航(3年)_夏から得点も量産、名門に欠かせない技巧

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 市立船橋高1-0新潟ユース Eスタ]

 苦しい展開の試合だったこそ、やはり頼りになる。市立船橋は攻撃的MF室伏航(3年)がこの日もクオリティの高いプレーを披露。そして前半30分に決勝点も決めてチームの勝利に貢献した。

 この日の市立船橋はどちらかというと我慢の展開。京都内定FW石田雅俊が出場停止だったチームは攻撃になかなかパワーを加えることができず、特に後半は守勢となる時間帯が続いた。その中で室伏は正確にボールを収め、ポジショニングがいい状態の選手のところへシンプルに、判断良く、ボールを運んでいく。また自らドリブルで仕掛け、スルーパスも通してシュートシーンに絡んだ。

 そして前半30分にはカウンターからゴール前でMF横前裕大が競ってこぼれたボールに反応。右足ダイレクトで決勝点となる一撃をゴールへ沈めた。試合終盤は簡単にボールを処理しようとしたところでインターセプトされるシーンもあった。それでも後半35分に相手GKの好守に阻まれたものの、ゴール左隅を捉えるシュートを放つなどパサーとしてだけでなく、フィニッシャーとしての怖さも見せながら90分間を終えた。

「(初戦の)大阪桐蔭戦がダメすぎたのでそれが悔しかった。きょうは悪くはなかったと思います。ただ、相手が攻め込んだ中で、チームとして前への力が持てなくても前の3人だけだったりでゴールへ向かっていくプレーがあったらもっと良かった。(それでも)選手権に向けてここで一個コケちゃったりすると、流れが落ちるということもあるので勝てて良かった」とホッとした表情を見せた。

 ややパス出しに専念していた感のあった春とは違うプレーヤーになった。「前期は中盤で捌いたり、リズムを作ったりということを主にやっていた。でも、そういうプレーばかりしていても自分はボランチじゃないんで。オフェンシブなんで。もっと得点とか、もっと前の決定的なプレーをしようと思って、中盤ではなるべくシンプルにやって前で関わる動きを意識している。前の選手はPAのところで仕事しなければいけない」と口にする。プリンスリーグでは前期の得点が2で後期は7。夏の全国高校総体も貴重なゴールを連発して得点ランキング3位タイ(4得点)に食い込むなど、スコアラーとして名を刻む回数を大きく伸ばしている。

 周囲への信頼もあり、この後控えている高校選手権でも得点を重ねる手応えがあるという。得点を意識し過ぎると、自身の大事な役割である中盤でのパスワークの部分で乱れてしまうために両立を心がけているが、「周りの視野が広いし、サイドバックとかも配球がいい。自分がチャンスを見て走りこめばボールが来る。周りを見てアクション起こせば点は取れると思います。(選手権も)得点は狙います」と意気込んだ。

 自身の決勝点でプレミアリーグ参入を決めて、あとは選手権を残すのみ。「最後だっていうのもあるし、メンバー以外の思いも背負ってやらないといけないのが選手権。それは忘れないで責任感を持ってプレーすることと、個人としてはチームに貢献するプレーをしたい」。エース・石田ほどずば抜けた存在感はないが、名門にとって欠かせないMFが選手権でも市船に歓喜をもたらす。

[写真]前半30分、市立船橋は室伏が右足で決勝ゴールを決める
 
(取材・文 吉田太郎)
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