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リーグ戦初ゴールのF東京 MF東「大宮が刺激になっている」

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[4.27 J1第8節 F東京2-0川崎F 味スタ]

 ピッチ上で見せたプレーとのギャップは、大きかった。試合後、ロッカールームに戻ろうとしていたFC東京のMF東慶悟は、ゴール裏のサポーターからのコールを受けると、ゴール裏のサポーターの前へ戻るとサポーターの声援に合わせて『シャー!!』と3度、右腕を上げた。F東京の選手とサポーターにとって恒例の勝利後の儀式だが、今シーズン新加入の東は、まだ慣れていなかった。「腕を回すときも、どっちに回すのか分からなくて。説明も何もないんですよ!!」。試合中は周囲と見事な連係を見せた東だったが、試合後のパフォーマンスを振り返り、そう苦笑した。

 この日の勝利に大きく貢献した。前半22分にはFW渡邊千真の横パスを受けてから、縦にパスを入れる。これを受けたMF長谷川アーリアジャスールの横パスをMFルーカスがゴールに突き刺した。「最初は自分でシュートを打とうと思ったのですが、前線でアーリアくんがフリーになっているのが見えたので、パスを出しました」。東の体は右を向いており、相手DFにとっては意表を突く形での縦パスとなった。

 加入後、リーグ戦では今季初となるゴールも後半20分に決めた。この場面、長谷川からのパスを巧みに受け、トラップでDFジェシのマークを外した。GK西部洋平と1対1になると、冷静に股を抜いて見せた。「相手のDFが前に食いついてくるという情報があったので、飛び込んできたところの裏を狙おうと思っていました。その後は、(GKの)股が空いているのが見えたので冷静に狙って蹴りました。これまでもチャンスがあった中で決めることができていなかったので、今日は決めてやろうと思っていました。その気持ちが通じたのかもしれません」と、安堵の表情を見せた。

 昨季まで所属していた大宮では、ロングボールが頭上を飛んで行く展開の中で持ち味を発揮しきれず、勝利後にも納得していない表情を見せることもあった。だが、F東京に加入した東は「やっていて楽しい」と充実していることを何度も繰り返し、古巣の存在が刺激になっていることも明かした。前日、柏に4-0で勝利した大宮は、甲府と引き分けた横浜FMを抜き、ついにリーグ首位に立った。「良い刺激になっていますね。やっているサッカーは違いますけど、上位にいますし。また今度は向こうで対決があると思うので、そのときに上位対決ができるように勝ち続けていきたい」。

 5節で大宮に0-1で敗れたF東京が、再び大宮と対戦するのは9月28日の第27節になる。その試合を上位決戦で迎えることができたとき、この日、露呈した課題も克服できているだろう。「点を取るごとに上手くなっていきたい。チームの勝利に貢献して、たくさん練習できるようにしたいです」と、今後も活躍を続けて、試合後の『シャー!!』のパフォーマンスにも磨きを掛けていくことを宣言した。

(取材・文 河合拓)

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