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代表同士によるマッチアップの勝負の行方は…鳥栖FW豊田「みなさんにお任せします」

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[8.3 J1第19節 柏2-1鳥栖 柏]

「(点を)とれなかった要因は……実力不足です。チャンスはあったと思います」。FW豊田陽平の苦悩に満ちた表情がサガン鳥栖の現状を物語っている。

 前節、逆転劇で大分トリニータとの“九州ダービー”を制し、3試合ぶりの勝ち点3を獲得した鳥栖。今季初の連勝を懸けて柏に乗り込んできたが、あえなく敗れてしまった。

 J1初挑戦となった昨季は、周囲の予想を良い意味で裏切る5位でフィニッシュ。大健闘の要因として、「ハードワークをベースにした堅守」と「高い決定力を誇るエースストライカー豊田陽平の存在」が挙げられる。5位以上の成績にも期待がかかる今季だが、自慢の堅守が崩壊し第19節までの全試合で失点を重ね、リーグワーストの44失点。リーグ戦を半分終えた段階で、昨季の39失点を上回ってしまった。

 失点数が激増している状況においても、鳥栖のもうひとつのストロングポイントである豊田は変わらず得点を量産し、得点ランキング2位タイの13得点をあげている。柏戦では5試合連続得点の記録がかかっていたが、「5試合連続に関してはメディアの方が一番盛り上がっていただけで、そこまで考えてない。チームが勝たないと意味がないので」と勝利につながらない記録は意に介さない様子だった。

 東アジア杯から帰国したのは今週月曜日。水曜日にはリーグ戦が再開し、中2日で柏戦を迎えた。しかも夏の猛暑の中で、さらに九州から関東まで長距離の移動を強いられている。そんな過酷な状況でも、プロとして言い訳はしない「コンディションのせいにするのはプロ選手として一番やっちゃいけないと思う」。

 日本代表のチームメイトであり、この試合の決勝点を決めたMF工藤壮人にもふれた。「前半見ている感じだと(体が)重そうだったし、うちの守備陣が応えてくれるかなと思ってたんですけど……。最後のところで仕事をしてきた」。そして、豊田を完封し、影のMVPとも言える活躍を見せたDF鈴木大輔については、「大輔も体が強いのでやりがいがありました。勝ったか負けたかは……みなさんにお任せします」と悔しさを滲ませていた。

 この日、他会場で甲府が勝利したため、鳥栖は順位をひとつ落として15位に後退。降格圏内の16位までの勝ち点差はわずか「1」となった。苦しい状況下でチームを救うゴールを奪えるか、失点の減少とともにエースストライカーの出来が鳥栖浮上のカギを握っている。

(取材・文 奥山典幸)

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