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香川は“ゼロトップ”に手応え、「トライしていく価値はある」

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[10.16 国際親善試合 日本0-4ブラジル ブロツワフ]

 完敗を悔やむFW香川真司(マンチェスター・U)だが、“ゼロトップ”には手応えもあった。「0-4という結果はすごい悔しい。決定力の高さは感じた」。そう唇をかむ背番号10に笑顔はない。「最後のところで強さを感じたし、こっちは最後のところで詰まっていた。精度が求められるし、こういう戦いをもっとしていきたい」。それでも、本職のFWを置かないシステムには可能性も感じた。

 前半は香川が左サイド、FW清武弘嗣が右サイドに入り、MF本田圭佑とMF中村憲剛が中央で2トップのような関係になった。事実上のゼロトップ。「FWがいない分、違うメリットを感じた。中盤で一人ひとりが連動して、入れ替わり激しくボールを回せばチャンスになる。ゴール前の迫力を意識してやったし、前半も数回、形をつくれた。これをトライしていく価値はある」。

 後半開始から中村に代わってFW乾貴士が左サイドに入ると、前線では香川と本田がコンビを組んだ。「どっちかが前に行ったり、流動的にやった」。そう話す香川は「後半の形はやりやすさを感じたし、もっとやっていきたい」と力を込めた。

 簡単に失点を重ねていったことが悔やまれた。前半12分に速攻からのミドルシュートで先制を許し、同29分にPKで2失点目。0-2で前半を折り返すと、後半立ち上がりの3分にセットプレーから3点目を許し、勝敗は決した。

「もっとブラジルを本気にさせたかった。もっと粘り強くやれば、面白い試合になった。崩されていないところで点を取られて、彼らはそこで勝利を手にした。余裕を感じたし、こういう相手には最低でも1失点に抑えないと厳しい」

 そう振り返る香川は、これがW杯のような本番ではなく、親善試合だったことも差し引く必要があると強調する。「これが本気のブラジルかと言われれば……。もっと雰囲気のある中で、ガチの中で、緊張感のある中でやりたかった。3-0になってからはブラジルも余裕があって、遊びを入れて、あまり参考にならない」。ブラジルとの差は想像以上だったのか。「差があるようでないというか、ないようであるというか。もっと粘り強くやりたかった」と悔やんだ。

「W杯はあっという間に来る。個人個人がもっと欧州で意識してやらないと。僕はただでさえマンチェスターという厳しい状況でやらないといけない。自問自答しながら戦っているし、明日からまたやっていくうえで、何か一つ刺激を受けるものはあった」。チームとして、個人として。この日の敗戦を糧にし、2年後のブラジルW杯までに、その差を一歩ずつ詰めていくしかない。

(取材・文 西山紘平)

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