[5.25 J1第13節 G大阪2-3鳥栖 万博]

　中断期間前の最終戦となるJ1第13節の2試合が25日に行われた。8位サガン鳥栖は敵地で公式戦6戦未勝利(4敗2分)の16位ガンバ大阪と対戦し、3-2で勝利した。今季アウェー戦初白星。シュート0本で前半を折り返し、2点を先取されながらも、執念をみせると主将のMF藤田直之がロスタイム4分に逆転弾を決めた。一方のG大阪はホームで痛すぎる敗戦。試合終了のホイッスルが鳴ると、次々と選手たちはピッチへ倒れ込んだ。

　G大阪は6月に行われるブラジルW杯アジア最終予選を戦う日本代表に選出されたMF遠藤保仁とDF今野泰幸が先発。故障の影響で加地が不在の右SBでは、DF丹羽大輝ではなくDF内田達也が先発に抜擢された。

　対する鳥栖はトゥーロン国際大会に出場しているU-23日本代表に選ばれている影響でMF水沼宏太が不在。代わって2列目右サイドではMF早坂良太が先発した。また左SBではDF磯崎敬太が先発出場した。

　開始3分、7戦ぶりに先発復帰した二川が結果を残す。G大阪が前線から果敢にプレスをかけると、最終ラインから前線へDF丹羽竜平が出したパスをFWパウリーニョがカット。左サイドからドリブルで仕掛け、ゴールライン際からクロスを入れる。ニアサイドに飛び込んだ味方には合わなかったが、ボールはゴール正面の二川の元へ流れた。胸トラップから冷静に右足シュート。落ち着いてシュートを決め、G大阪が先制に成功した。

　リードを奪っても攻撃の手は緩めない。前半15分には日本代表の2人がみせた。遠藤の左CKにファーサイドで合わせた今野がヘディングシュート。惜しくもポスト右を叩く。その後は左サイドのDF藤春廣輝とMF倉田秋が躍動。高い位置にポジションを取っては相手ゴールに襲い掛かった。倉田のスルーパスにFW佐藤晃大が抜け出すがシュートは枠外。1-0とG大阪リードで前半を折り返した。

　一方、リーグ戦では5戦勝ちなし(4分1敗)と今節でなんとか勝利の欲しい鳥栖はシュートを打つことができず。セットプレーでバイタルまで攻め込むシーンはあったものの、前半終わってみればシュート数はゼロ。前半3分に失点すると押し込まれたまま前半を終えた。なんとか後半4分にはファーストシュート。MF金民友の横パスを受けた丹羽が右クロス。飛び込んだFW豊田陽平が頭で合わせたが、ポスト右へ外れた。

　その後はスコアも動かず、こう着状態が続いた後半20分。G大阪ベンチが先に動く。パウリーニョに代わり、MF阿部浩之をピッチへ送った。するとこの采配が的中。わずか2分後の後半22分、内田からのくさびを受けた阿部が右サイドへはたく。抜け出た遠藤がドリブルで仕掛けると中央へ折り返す。飛び込んだ佐藤が右足で流し込んだ。2-0と差を広げた。

　この勢いを継続させて逃げ切りたいG大阪だったが、ゴールから1分後の後半23分に鳥栖が意地をみせる。右サイドからMF藤田直之のロングスロー。ニアサイドへ飛び込んだ豊田が頭で叩き込んだ。ボールはゴール左へ吸い込まれ、1-2。鳥栖が1点差に詰め寄った。勢いづいた鳥栖は中央からの波状攻撃でG大阪ゴールへ攻めかかる。後半26分にはDFのクリアボールを拾って、右サイドへ展開。右クロスから豊田がヘディングシュートを放ったが、GK木村敦志に止められた。

　執念をみせる鳥栖は後半30分から立て続けに3人の選手交代。後半30分にトジンに代えて、FW野田隆之介。同35分には早坂を代えて、FW岡田翔平を投入。同38分には最後の交代枠を使い、小林久晃に代えて、DF呂成海をピッチへ送った。

　すると後半41分、丹羽の右クロスはDF中澤聡太にクリアされるが、これがゴール正面の豊田の足元へ。豊田は自らシュートを打つとみせかけて、左サイドへ展開。これを受けた藤田がPA外左から冷静にコントロールしてのシュートを決めた。前半は沈黙の続いた鳥栖だったが、後半に怒涛の攻撃をみせると2-2の同点に追いついた。

　勢いづいた鳥栖は最後まで諦めることなく攻め込んだ。すると終了間際のロスタイム4分、G大阪の猛攻を受けるがなんとかしのぎ切り、カウンターに持ち込んだ。野田がドリブルで中央を駆け上がると、PA右の藤田へパス。藤田がGKとの1対1で冷静に右足シュートを決めてみせた。キャプテンが仕事を果たすと、3-2と逆転に成功。直後に試合終了のホイッスルが鳴り響き、鳥栖が劇的勝利を手に入れた。

　試合後、決勝点を決めて全得点に絡む活躍をみせた藤田は「前半は今シーズン最低の出来で何もできなかったが。ハーフタイムにみんなで切り替えていこうと話した。その結果上手くいったんじゃないかと思う」とコメント。決勝点のシーンを振り返っては「シュートシーンはあまり覚えてないのですが……入って本当に良かったと思う」と微笑んだ。