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後半戦への手応えを語る横浜FC・MF高地「チームとしての在り方が分かった」

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[6.24 J2第21節 横浜FC 1-1 福岡 ニッパ球]

 試合後の会見で、前半戦の戦いぶりについて問われた横浜FC山口素弘監督は、いつもどおりクールに答えながらも、「この(シーズン)半分のときに、この順位は誰も予想していなかったと思います」と、手応えを口にしている。今季、横浜FCは開幕から8試合未勝利で、最下位にも沈んでいた。それでも、9節で初勝利を挙げてからは、13試合で9勝1分3敗と、大きく勝ち越している。

 昨シーズン、J1のアビスパ福岡と引き分けた試合後、横浜FCの選手たちは口々に「もったいなかった」と、勝ち点3を獲得できなかったことを悔しがった。実際に前半から多くのチャンスをつくることができた。24分にはこの日が誕生日だったMF武岡優斗が獲得したPKをFWカイオが決めて先制。その後も、前半43分にFW大久保哲哉が最終ラインの背後を取り、GKと1対1のチャンスを迎えるなど、決定機をつくっていた。

 追加点が取れなかったことで1-1の引き分けに終わったが、選手たちは後半戦に向けて、確かな手ごたえを口にした。MF佐藤謙介は「まだ半分」と、さらなる浮上に自信を見せた。

「最初は長く感じていましたけど、今は『まだ半分なんだ』という感じです。もっともっとやれる部分もあるだろうし、直さないといけないところもあると思うので。ここで切り替えて、しっかり1試合1試合戦っていければ、もっと上に行けるのかなと思います」

 根底にあるのが、パス回しだ。この試合でも、意図的に密集をつくり出して、少ないタッチ数のパスで福岡のプレスをかいくぐり、最終ラインの背後へボールを送り出す場面が何度も見られた。

「とにかく練習から『1タッチ、2タッチ』とか、『相手が来ててもビビるな』とか『自分に自信を持て』と監督に言われ続けているので。自分もそうですし、チームの一人ひとりがその意識が高くなった分、ボールも動かせるようになりました。だからこそ、最後に点が取り切れていないのはストレスになりますが、そこでもう1回、落ち着いて点を取れるようになっていけば、もっともっと良くなると思う」と言う佐藤は、「勝てないとあまり大きなことは言えませんが、やっていて楽しいです」と、早くも次の試合が待ちきれないという様子で語った。

「ポジティブには考えたいが、勝ち切れた試合だったのでもったいない試合だったし、反省点は多い」と試合を振り返るMF高地系治も、現在のチームの『戦い方』に、大きな可能性を感じている。

「みんな速いテンポで回すことは考えている。だからしっかりボールサイドにいないと『なんでそっちにいるんだよ』っていうことになる。そうなると逆に浮いてしまうので、ポジション取りをしっかり考えてやらないといけない。うまくボールが回っているときは、しっかりみんながポジションを取れているとき。これが前半戦でできるようになったのは、後半戦に向けても大きいと思います。チームとしての在り方がわかったし、これをどう後半戦につなげていけるかは、自分たち次第だと思います」

 前半戦を終えて、順位こそ10位の横浜FCだが、首位・山形との勝ち点差は9。プレーオフに進出できる6位・甲府とは、勝ち点6差まで縮めている。

「日々のトレーニングの取り組み、ゲームに対する取り組みの積み重ねが出ていると思います。この積み重ねたものを大事にしたい。まぁ、これからですね」と語った山口監督。今後の横浜FCが、どのようなサッカーを見せ、どのような結果を残していくのか、実に楽しみだ。

(取材・文 河合拓)

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