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1アシストのC大阪・柿谷「もっと貪欲にプレーする」

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[3.24 J1第3節 川崎F 0-1 C大阪 等々力]

 笑顔が弾けた。後半30分、MFキム・ボギョンの先制点につながるパスを出したMF柿谷曜一朗は、ついにJ1で結果を出し、喜びを爆発させた。

 今季、徳島ヴォルティスへの期限付き移籍を終え、セレッソ大阪に復帰した。今季、ここまでスタメンでピッチに立てていなかったが、腐ることはなかった。「ピッチ上にいなくても、チームのためにやることがあると、徳島でミノさん(美濃部直彦・前徳島監督)に教えてもらった。選手のやるべきことは、試合に出てプレーすることだけじゃないし、一生懸命やっていればチャンスがくると思っていました」。

 その言葉通り、彼にはチャンスが与えられている。前節のG大阪戦(2-1)では8分。そして、この日は後半29分にピッチに立った。前回の倍となる15分近くの時間が与えられた。「監督に声をかけられたときは、ロスタイムを含めて20分くらいありましたよね。結構、長かったのでチャンスだな、何とか流れを変えたいなと思いました」。

 そして、ピッチに入ってわずか1分後に結果を出した。小学生時代、一緒に世界大会にも出場したことのあるMF清武弘嗣にボールを預けると、前線に駆け出した。「キヨ(清武)だったら出してくれると思って(パスを出しました)。『浮かせて!』と思いながら走りました」。柿谷がピッチに入った瞬間「ああいう場面が増えるなと思っていました」と語る清武は、柿谷の注文どおりのパスを返した。

 リターンを受けた柿谷は、対面するDFをかわして、縦に突破する。シュートの選択肢も頭に浮かんだが「ここでオレが左足で打っても入らないな」と思い直し、クロスを選択した。「ゴール前に(キム・)ボギョン、シャケさん(酒本憲幸)ともう一人いたのが見えた」と言う柿谷は、目の前にスペースのあったMFキム・ボギョンへのクロスを送った。キム・ボギョンは、1トラップしてシュートを決めた。

「決まった瞬間、僕はゴール裏にいたので、相手GKの視点から見ていました(笑)。『ボギョン、こっちに来て!』と思ったのですが、逆サイドに走り出してしまったんですよね。あっちまで行くのは大変だなぁと思っていたら、シャケさんとかが来てくれたので、一緒に喜びました」

 06年にJ1デビューを飾っていたが、J1で得点に絡んだのは、これが初めて。自らアシストしたゴールが決勝点になり、勝利という結果に喜びながらも満足はしていない。

「自分が求めている結果はゴールだし、アピールはまだまだ足りない。途中から出て(結果を出して)楽しかったというより、3シャドーの中でスタメン出場したい気持ちが強い。練習から毎日アピールして、試合でも途中出場してアピールしていきたい」と、スタメン奪取を誓った。

 C大阪のトップ下には、リーグ屈指のタレントがそろっている。その中で、控え選手たちが、レギュラーにプレッシャーをかけていくことがチーム内の競争を促し、チームを上昇させる推進力になっていく。ミックスゾーンで五輪について聞かれても「まずはスタメンを勝ち取ってからです。もっと貪欲にチームのために一つでも多くのゴールが取れるように頑張ります」と、柿谷の信念は全くブレなかった。

 虎視眈々とレギュラーの座を狙うその存在は、開幕から無敗の続くチームにとって、大きな力になる。

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